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2012年6月18日 (月)

「天皇の料理番」 その1

 Oh! レディ・リー、帰ってきたよ
 五年ふりさ、この街も
 俺も、やっとどうにか、落ち着いてきたよ
 暮らしはまだまだ、満ち足りちゃないけど
 きっとお前がよろこぶ、ニュースがあるんだ
 照れないで、吹かないで、聞いておくれよ
 Oh! レディ・リー、帰ってきたよ
 今お前がそばに、いれば

……70年代テイスト満載のメロディーに乗って、
堺正章さんが歌うわけです。
ちょっと以前にTBSチャンネル(CS)でドラマの再放送をしていまして、
エンディングが流れ始めた途端、一緒に歌い始めてしまいました。
三十年以上の時を超えても、案外覚えているものですね。

そのドラマのタイトルは
「天皇の料理番」
今の若い方は知らないかもしれません。1980年の秋から半年間、
TBSで放送され、結構話題になったドラマです。
三十歳後半くらいの方だと、記憶の片隅に残っているかもしれない。

主役は堺正章さん。今は髪もグレーになり、軽快なトークと芸達者なおじさんですが、
当時はやんちゃな青年のイメージで、ドラマ「西遊記」の孫悟空の役が
おそろしくはまっていた。あれは、堺正章ありきの企画じゃなかったのかな。

その堺正章がドラマの主役だから、自分は見始めたのだと思います。
なんせ、お馬鹿な小学生ですから、「天皇」とか「フレンチ」とかよくわからない。
当時クラスの発育のいい女の子が、体育の時間に「さぼってないで道具を運びなさいよ」
と走ってきた、その胸が体操着の中でブランブラン揺れていて、しかも
ポッチリがはっきり突き出ていたことに驚き、
しばらくは友達とその子の話をするとき、
「ダイナマイっ!」
と盛り上がるくらい、お馬鹿だったわけです。
どうでもいいけど小学生なのにしっかり複数形だな。

そんな馬鹿な小学生にとって、「天皇の料理番」はちょっと敷居が高い。
大仏次郎のノンフィクションドラマに「天皇の世紀」というのがあるけど、
タイトルだけだとそんな硬派な感じがします。しかし、主役はあの堺正章、
ちょっと前まで西遊記でゴダイゴの曲をバックに如意棒振り回していた人です。
小学生だってついついチャンネルを合わせてしまう。

オープニングはいきなりフランス語の曲です。
格調高く、タイトルに相応しい優雅な雰囲気が醸し出される。
その曲に乗って、ジャガイモがシャトー剥きにされ、
くりぬき器で真珠のような形にくり抜かれ、
(子供心にも残ったジャガイモがもったいないと思ってた。)
油で揚げられて小さなカップみたいなものに盛られます。
ここでちょび髭を生やしたコック帽の堺正章登場。
偉そうにジャガイモ料理をつまみ、味見をしてからうなずきます。
なんか、イメージと違う……そう思ったせつな、
もう一口食べようとして下げられた料理を追いかけ、ずっこけます。
よかった、これは高尚な番組ではない。いつもの堺正章だ。

第一話は明治の末頃、福井県の山寺から始まります。
やんちゃな少年がやんちゃの限りをつくして、
それを持て余した親によって仏門に入れられる。
まんま西遊記です。
ちなみに、このお寺の小坊主1の名前に千葉繁がクレジットされていました。
たぶん、あの声優の千葉繁さんじゃないかと思います。
古いドラマを見ていると時々いろんな声優さんが出てきます。
池田秀一さん(シャア)は花神の中で長州側で戦ってて、
蛤御門の変で討ち死にしてましたし、
ルパン山田康夫さんも「風と雲と虹と」に出ていらっしゃいました。

閑話休題。

仏門に入ってからも堺正章、いえ、秋山篤蔵のやんちゃは収まるところがありません。
めしが不味いと言っちゃ暴れ、先輩が横柄だとそれに反発するといったありさま、
ところが、ある日の出来事がきっかけで、篤蔵の人生は大きく変わります。

孫悟空ならば五行山に閉じ込められ、夏目雅子、じゃなくて三蔵法師に出会うわけですが、
篤蔵が出会ったのは「西洋料理」でした。

和尚様に連れられ、陸軍の歩兵第三十六連隊に出かけたとき、そこの厨房に迷い込み、
眉毛のたくましい連隊の料理番、目黒祐樹さんに「カツレツ」を食べさせてもらいます。

坊主に生臭ものを食べさせるのもどうかと思いますが、
「わし、まだ坊主の見習いですから」と篤蔵はそのいい匂いのする料理を
ナイフとフォークを使って食べます。(実際はフォークしか使ってないけど。)
その瞬間、篤蔵は雷に打たれたように表情を変え、涙を流して崩れ落ちます。

目黒祐樹「……うまいか?」
秋山篤蔵「うまい……、わし、こんなうまいもの食ったことがない……」

人生において、その人間の生き方を決定づける瞬間というものはいろいろありますが、
篤蔵とカツレツの出会いほど劇的なものはそうはありません。
なんせ、この後「天皇の料理番」が最終回を迎えるまで、
秋山篤蔵はこの時の感激だけで駆け抜けていくわけですから。
ドラマとは言え、そのエネルギーたるや、実に激烈。
ただ、その激烈なエネルギーが反面的に彼を家庭的でなくするところがあり、
心根のやさしい篤蔵はそのことでいつも傷ついていくのです。

親に無理やり結婚させられ、見上げるような大女、トシ子(壇ふみさん)を嫁にするも、
西洋料理への憧れは収まることがなく、ついに家と女房を捨てて上京します。

汽車は駆け抜け、篤蔵は旧新橋駅に降り立ちます。

そこで彼は東京の人間が食べているものが知りたくなり、
当時日本橋にあった魚市場に向かいます。

そこで出会ったのがかわいいベトナムの女の子、ではなく、
ヤクザなチンピラと、ギャングの親分みたいな男でした。

チンピラは志賀勝さん。親分は財津一郎さんです。
実はこのヤクザな二人は料理人でして、
華族会館という当時の日本最高峰のレストランを牛耳っています。

料理人は殴る蹴るは当たり前、体育会系の世界とはよく言われますが、
最初の数話の二人はとにかく口より先に手足が出ます。

華族会館に下っ端として入り込んだ秋山篤蔵は、なべを持ってこいと言われて
その通りにすると、志賀勝さん(剃り込みの入った極道者にしか見えない)に
「バカヤロウ!ナベってのはフランス語でカブのことを言うんだ!」
と制裁をくらいます。理不尽です。でも料理人の世界って未だにこんなのかもしれません。

厨房には同じ新米の料理人がいます。
それが今となっては信じられないくらい豪華な配役なのですが、
鹿賀丈史さんと明石家さんまさんです。

「料理の鉄人」(の司会者)と「恋のから騒ぎ」が
「チューボーですよ」とトリオを組んでる。

物語は「天皇の料理番」とは名ばかり、
この三人の男たちの熱い青春の物語として展開していくのです。

Photo

続く

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