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2013年7月

2013年7月29日 (月)

復元

昔の刑事ドラマで、身元不明の白骨死体が見つかると、
科学捜査班みたいなのが突然出てきて、
被害者の生前の顔を「復元」するシーンがありました。

白衣を着た気難しそうなおじさんが薄暗い研究室のような部屋に籠り、
被害者の頭の骨を地球儀の台のようなものに固定する。
そこに粘土を貼りつけ、ガラスの目玉を入れ、
ウイッグを乗せ、お化粧をすると、哀れな被害者の頭が出来上がる。

刑事さんがその再現された顔を見て、
「あっ!」
と叫ぶと、被害者の生前の姿がプレイバックしたりしました。
割とお約束のシーンだったします。
場合によっては、役者さんが台から頭だけ出して、
復元人形の役をやるなんて、かなりシュールなドラマもありました。

具体的に番組名までは覚えていないのですが、
当時自分が観ていた刑事ドラマというと、
「特捜最前線」とか「Gメン'75」なんかじゃないかと思います。
火曜サスペンス劇場でもあったかもしれない。

「復元」は、刑事ドラマの緊張感を高める、格好のアイテムでした。
殺された人間が、研究室の机の上で生前の姿を取り戻す……
そこにはオカルトな恐怖が秘められているのです。

子供の頃、学研の学習雑誌の付録で骨格標本がついてきたことがあったのですが、
そいつの小さな頭蓋骨を見た僕は、当然のように「復元」を始めました。
粘土で顔面を再現して、
「おお!」
と驚いてみたり……まったく何がうれしいのだか。

そんなこんなで骨格標本に多少の愛着のある僕は、
何年かまえにアメリカの知育玩具で、千円くらいの奴を買って、
部屋にずっと、飾っていたりします。
こんなやつ。

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肩甲骨とか調べるときに便利です。

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そういえば、作家の吉村昭さんの小説で、「透明標本」とか「少女架刑」があるけれど、
あれは、本物の骨で骨格標本を作ることに情熱を燃やす男の話で、
作者の骨へのフェティシズムが感じられて、個人的に好きな作品です。
「少女架刑」は、女の子の死体を病理解剖する話で、物語の途中で標本男が出てきて
「その骨は私のものだ!」
とか叫んでたはず。

自分には、骨へのフェティシズムはないのですが、
復元を通して生前の姿を再現できるという点では、
骨にものすごい興味を感じたりしています。

例えば、石田三成。

太閤秀吉の家臣として、秀吉亡き後も豊臣家を支え、
天下を乗っ取ろうとする徳川家康に決然として挑み、関ヶ原で負けちゃった人。

島左近とか、大谷吉継とか、名だたる戦国の武人に愛され、
「この男のためになら死んでもいい」
とまで思わせたのですから、とても魅力的な方だったはずです。
もっとも、加藤清正とか福島正則には毛虫みたいに嫌われてましたけど。

関ヶ原の敗戦後、山の中に隠れていたところを発見され、
「腹も切らぬとは、とんだ臆病者よ」
と笑われ、
身体に悪いから柿は食べないと言えば、
「これから死ぬ人間がなんで健康の心配をするのか」
と、また笑われて、それでも、

「武士たるもの、最期の瞬間まで主君のために生き延びようとするものだ!」

と、顔を真っ赤にして反論する執念の人。
結局、四条河原かどこかで首を落とされてしまったのですが、
その首は河原にさらされた後、縁者の人が寺に埋葬して、お墓が残っているそうです。

この頭の骨の発掘調査が行われて、復元された石田三成の顔が、大阪城にあるのですが、
それが、これです。





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僕は三成と言えば近藤正臣とか江守徹をイメージするので、
なんか違うという気がします。

歴史上の人物の復元と言えば、最近でもイギリスでリチャード三世の骨が発見されました。
十代の頃に読んだ英国王室の本で、
シェークスピアの史劇で役者さんの演じてる写真が載ってて、
それが「黒い貴公子」みたいですごくカッコ良かったのですが、
復元された姿はこれです。




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はぎわらなが……僕はダースベーダーみたいなイメージをずっと持ち続けていたので、
復元された顔を見ると、実は結構いい人なんじゃないかと思えてきます。

他にも、伊達政宗、JSバッハから、例のアイスマンまで、
復元された歴史上の人物はたくさんいます。

歴史上の著名人が、生前はどんな姿だったのか、
多くの人にとってとても興味のある話題だと思います。
タイムマシーンが存在しない以上、DNAからでも過去の姿が再現できないかと、
そんなことまで考えてしまいます。
……なんだかジュラシックパークみたいなことになりそうですけど。

そういえば、東京タワーの蝋人形館が間もなく閉館されるそうです。
「復元」というのは、自分にはロマンだったりするので、
そのロマンを感じさせる場が一つ消えてしまうのは残念です。

あんまり残念なので、記念に一枚、蝋人形館で撮った写真を載せます。


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隅っこの方にちゃっかり展示されていました。

2013年7月22日 (月)

出前の話 その5

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2013年7月19日 (金)

出前の話 その4

人間にはテンションがある。
寝起きは象のようにノロノロしていても、
仕事に追いまくられてガンガン動いているうちに、頭の中がハイになってくる。

そうなると、レコードの回転数と同じで、
喋ってる言葉のキーも若干高くなる。

この例えが分からない若人に説明すると、昔はレコードプレーヤーというものがあって、
レコードの種類によって、回転数を変えることが出来たのである。
LP盤をドーナツ盤のスピードで再生すると、曲が早くなって、ピッチも上がった。
それと同じで、人間も加速がつくと喋ってる言葉のピッチも上がる。

僕は、寝起きは「なんで怒ってるの」というくらい、暗い声なのだけど、
テンションが上がってくると、どんどん言葉のピッチが高くなってくる。

それで、若い頃はあんまりピッチが上がりすぎて、声が女の子、というか、
おばちゃんみたいになることがあった。
この状態で出前をするから、ときどき女性の配達員と間違われることがあった。

なんか、事務所の奥から嬉しそうな顔をしたおじさんが出てきて、
「あれ、お姉ちゃんは?」
と、キョロキョロするのだけど、
目の前にいるのは身長170センチのゴッツイ顔したアンちゃんなので、
「なんだよ、男かよ!」
と怒り出すことになる。

自分もその気持ちはなんとなくわかるから、申し訳ない気分になる。
親父とおばちゃんばかりの職場で、いいかげんウンザリしているところへ、
突然、若い女の子の声が聞こえてくれば、
そりゃ男児たるもの、スキップしながら玄関に向かうものさ。

まあ、そんな錯覚も、僕が二十代の前半だったからで、
三十前くらいからは、さすがに声がオジサンになってきて、
高い音は出なくなってしまった。

今では僕の声を聞いてときめいてくれる男性は、
皆無である。
元が高い声なものだから、頭の軽いナンパ親父みたいな声になっている。

逆に、若い頃オッサンみたいな声だった後輩さんが、
この頃は円熟してすごく渋い声になっていたりするから、
くそ、何だこの野郎、僕だってそんなセクシーダンディな声になりたかったぞと、
悔しい思いをしていたりする。

それはともかく、
出前はやっぱりきれいなお兄ちゃんかお姉ちゃんが望ましい。
何より、きれいどころ目当てにまた注文しようというリピーター客を獲得できる。

自分が超絶イケメンだったら、ラーメン屋は大繁盛だったろうなと、
看板アニキになれなかった若き日の自分を不甲斐なく思ったりもするのである。

なにせ、イケメンはすごい。

東北で大震災と原発事故があった数か月後に、
すごいイケメンが山のような果物を抱えて
「お兄さん、買ってください」
と玄関口にやって来た。

別にそっちの趣味はないのだけど、
なんかイケメンというだけでうれしくなっていまい、話を聞く。
「こっちの蜜柑は長野産なんですよ」
と蜜柑の箱を見せてから、
「こっちの梨は最高級の銘柄なんですよ」
と、特に産地を告げることなく、なんだか長野産であるかのような流れで話を進める。

「買っていただけませんか」

目の前でイケメンボイスでささやかれると、ノーマルな僕でも悪い気はしない。
産地がどこでも構わないや、という気分になって、
ついつい買ってしまった。

梨はすごくおいしかった。

これは訪問販売の話なのだけど、
自分もあれくらい甘いマスクと、トリッキーな話術があれば、
その道でひとかどの人物になれたかもしれない。

皮肉でもなんでもなく、割と本気でそう思っている。

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面倒見のすごくいい方で、いろいろ生活物資を援助してもらったけど、
「かわいいから」という理由で頂戴したディズニーのお菓子の入れ物だけが、
今でも小物入れとしてのこっていたりします。

そんな恩人にこの仕打ちはひどいな。


2013年7月11日 (木)

出前の話 その3

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詳細はその1へ。

2013年7月10日 (水)

出前の話 その2

東京はやたらとラーメン屋が多い。
僕は名古屋で生まれ育ったのだけど、昔の名古屋はラーメン不毛地帯で、
ラーメン屋はそんなにたくさんはなかった。
そのかわり、やたら喫茶店が多くて、モーニングサービスが充実していた。

東京に来て驚いたのは、とにかく喫茶店が少なくて、
そのぶん、そば屋とラーメン屋がやたら乱立していたことだ。

自分はあまりラーメンを食べるという習慣がなかったのだけど、
出前のバイトをしていた一年間は、昼は毎日ラーメンで、
鶏ガラスープのあっさりした味にすっかり慣らされてしまい、
ラーメン無しでは生きていけない身体にされてしまった。

名古屋にいた頃は大好きだったきしめんも、この頃はその存在を忘れてしまうくらいだ。

自分のバイトしていた店は中華食堂といったスタイルで、
餃子もチャーハンも、エビチリも、酢豚や天津飯も、いろいろあった。
最近はやりのラーメンとかつけ麺オンリーの店とは違う。

自分は、この店で五目焼きそばとか、五目カタ焼きそばとかの味を覚えて、
とくに前者はかなりの好物になっている。
店のおじさんは僕があんまりおいしいおいしいと言うので、
大きな丼ぶりいっぱいに五目焼きそばを作って、
「さあ、喰いやがれ」
と出してきたこともあった。

さすがに二人前はちょっときつい。

ラーメンスープに特製の豆板醤を入れて、とびきり辛いラーメンも作っていた。
辛いラーメンというのも、名古屋時代の自分には縁がなかったので、
(台湾ラーメンの店がかなり近所にあったにもかかわらず)
以来、辛いラーメンを大汗をかきながら食べるのも、大好きだ。
ただし、本場の人が本気で作った担担麺はさすがに辛すぎて食べれない。

と、ラーメンに縁のなかった自分にいろいろなラーメンを教えてくれたのがこの店で、
この店でバイトをしなければ僕はラーメンのおいしさに気が付かなかったかもしれないし、
あるいは、今よりもっとスマートで、健康的な体だったかもしれない。
複雑なところだ。

でもまあなんだかんだで、僕はお店のおじさんおばさんにはとても感謝をしているのだ。
おいしいものを食べさせてもらえた恩義は、一生忘れないものなのだ。

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詳細はその1

2013年7月 6日 (土)

出前の話 その1

21世紀はネット通販な時代になってしまった。

街を歩けば、この10年ばかりで贔屓にしていた店は次々とシャッターを下ろし、
ついに、町から本屋やら魚屋やらが姿を消してしまった。
残ったのは不動産屋とコンビニエンスストアーばかりだ。
だから、ちょっと何かを買おうというとき、
時間をかけて大きな街、たとえば池袋なんてところまで行くよりは、
アマゾンや楽天でいいや、ということになる。
小腹がすけば、ピザだって頼める。(あんまり頼んだことないけど)
電化製品だって、ネットで買った方が安い場合だってある。おかげさまで、
その気になれば通販だけで何とか生きられそうな今日この頃だ。

あと十年もしたら、通販が当たり前で、
町の小売店は生活のためよりは趣味で開店したサロン風の店ばかりになるかもしれない。
というか、もう実際そういう店ばかりになってる。
会社の役員様が退職後に開いた手打ちそばの店とか、
誰が買うんじゃってな不思議な婦人服を売ってる奥様の店とか、
ぶらりと入るとあんまり家庭的なので落ち着かなくなる喫茶店とか。

つまるところ、町の小売業は流通の仕組みに吸収されてしまったわけで、
こうなると宅配のドライバーさんにも「接客業」であることが求められるようになる。
佐川にしても、クロネコにしても、
頭の下がるような丁寧な仕事をしてくれる人たちは多い。
まあ、中には突然世間話を始めるような人もいるけど。

自分も一年くらい、ラーメン屋で出前のアルバイトをしたことがある。
リアルタイムで配達日記みたいなブログをやるのはマナー違反だと思うけど、
自分がやってたのは20世紀の話だし、まあ、ちょっと書いてみる。

駅前のラーメン屋だったけれど、小さな町だったので、
駅前以外は完全に住宅街だった。そこに間を縫うように事務所があった。
北上するほどお金持ちの家が多くなり、
一番大きなお屋敷のあたりになると、日曜の夜に弦楽四重奏でシューベルトを演奏してた。
確か「死と乙女」だったと思う。
家族だか仲間と集まって合奏をするというのは、
絵にかいたようなお金持ちだよなと、自転車をお屋敷の前に止めてしばし聞き入っていた。
もっとも、そのお屋敷からラーメンの注文が来たことはついぞなかったけど。

公園を清掃するお年寄りの親父さんにはすぐ顔を覚えられた。
「漫画を描くんだってね」
と、野良の子猫を紐でつないで手渡されたことがあった。
「スケッチにいいんじゃないかと思って捕まえてやったよ」
……子猫は僕の手の中で壊れたポンプみたいに心臓をドキドキさせていた。
このままでは死んでしまうと思ったので、
「モデルが嫌がってるから」と、その場で解放してもらった。
お礼を言って仕事に戻った。

アパートで一人暮らしのおばあちゃんのところに出前に行ったら、
「若いのに偉いね」
と、なぜか封筒に入った2千円を料金とは別に渡されたことがある。
「頂けません」
と断ったら少しさびしそうにしていた。

お年寄りは、寂しい人が多いなと感じた。

出前に行ったら玄関にブラジャー丸出しの女性がいたことがある。
もっとも、それは解体屋を仕切っている女社長のおばちゃんで、
性別なんてものはとっくに超越したような存在だった。
自分も慌てるよりは「さすがにいい筋肉してるな」と感心してちょっと見とれた。

そういえば、このおばちゃんはお店にいらしたとき、
「お姉ちゃんいいケツしとるな」と僕のお尻を撫で回したことがある。
「僕は男の子ですよ」
と怒ったら「ガハハハハ」と大笑いしていた。そういう人である。

この解体屋のおばちゃんはダックスフントを三匹くらい飼っていた。
これが、出前に行くと猛烈に吠えかかってきた。
他にも何件か、ダックスフントを飼っている家があったけど、
例外なく、奴らはデリバリーのあんちゃんである自分に吠えかかってきた。
おかげで、今でもダックスフントを見ると自分は逃げる。
あんな凶暴な犬はいないと思う。
飼い主に言わせると、ご主人想いで愛らしい犬らしいけど。

そのダックスフントを庭で飼っている家で、
出前のたびに「ここは私が食い止めるから、今のうちに早く!」
と変なフラグが立ちそうなセリフを言う奥様がいた。
犬が狂ったようにきゃんきゃん吠えているのを、胸でしっかりと抱き止めていた。
「急いで!」
玄関を開けると年頃の御嬢さんがいて、
「さあ、どうぞこちらへ」
と下駄箱の上にラーメンを並べさせる。
出前に行くたびにこの寸劇が繰り返された。。
なんだか変なファンタジー物のRPGをやっている気分になる。

逆に、大人しい犬もいる。
広い玄関でシベリアンハスキーを飼っている家があって、
この大型犬は僕が近づいてもまったく吠えなかった。
そういえばこいつはオッドアイなんだよなと思って、顔を近づけて目を覗き込んだけれど、
色違いの双眸は湖のように静かに澄み切っていた。
「大人だね」
と褒めると、奥様がニコニコしながら「ありがとう」と答えた。
もちろん、犬に言ったのである。

デリバリーは人様の家の玄関までいくので、
その私生活を覗き見てしまうことも多い。
高級マンションでロックを解除してもらって部屋まで上がったら、
彫り物を入れたアートなお兄さんがいて、
「オセーヨ、トットトモッテコイヨ」
とお怒りになったことがあった。
玄関にラーメンを出そうとしたら
「ユカヨゴスンジャネーヨ」
と怒鳴られて、結局リビングまで言ってテーブルの上に料理を並べさせられた。
とてもアートな部屋でドンキホーテで売ってそうイルミネーションがたくさん並んでいた。
しげしげと眺めていたら、
「ジロジロミテンジャネーヨ」
と、また怒鳴られた。

一度だけ交番に出前をしたことがある。
そこは普段はライバルの蕎麦屋を贔屓にしていたのだけど、その店が改装工事だったのだ。
「上に持ってって」
と言われたので、狭い階段を岡持ちを抱えて上がると、
寝転んでテレビを観ているポリスマンがいた。
「そこに置いといてよ」と顔だけこちらに向けてテーブルの上を顎で示した。
……いかついお巡りさんもただのおっさんなのだなと、当たり前のことを考えた。

「毎度○○です」
と玄関を開けると、歯磨きをしている四十前の奥様がいた。
「フガフガフガ」
と、靴箱の上を置くよう顎で示した。
わざとだったのだろうか、料金を払う間も、
「フガフガフガ」
と歯ブラシを咥えたままでお札を出した。
有閑マダムには突拍子もない行動をして若い男の反応を楽しむご婦人が多い。

雨が降り始めて、合羽を羽織って出前をしたら、
玄関口で洗濯物に埋没している学生の女の子がいた。
「……毎度」
と声をかけると、顔を真っ赤にして
「お母さん!」と家の奥に助けを求めた。
なんだか申し訳ない気分になる。

若い頃は異常に声が高かったので、よく女の人と間違えられた。
「毎度○○です!」
と声をかけたら、中年の男性がいそいそと出てきて、
「あれ?お姉ちゃんは?」
とキョロキョロし始めた。
「僕ひとりですけど」
と言うと、
「なんだ男かよ」と露骨に不愉快そうな顔をされた。
女の人だったらどうするつもりだったのだろう。

五十を超えたくらいの男性で、いきなり説教を始める人が何人かいた。
「いい歳してバイトかよ、早く店を持て」
とか、
「夢があるってのはいいな、それに引き替えうちの若いのは……」
とか。
初老の男性は若い男を見ると何かを言いたくなるらしい。

他にも、いろいろあって、それを片っ端から日記につけているのだけど、
もうずいぶん前のことなので、時効かなと思って書いてみました。
デリバリーの仕事の人で、お客さんのことをネットでさらすと、
いろいろヤバイと思いますので、さらすなら何年か時間を置くべきだと思います。

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P2もともと猟犬ですから、どんなに小さくても心はハンターなのかもしれない。P3

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