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2013年7月19日 (金)

出前の話 その4

人間にはテンションがある。
寝起きは象のようにノロノロしていても、
仕事に追いまくられてガンガン動いているうちに、頭の中がハイになってくる。

そうなると、レコードの回転数と同じで、
喋ってる言葉のキーも若干高くなる。

この例えが分からない若人に説明すると、昔はレコードプレーヤーというものがあって、
レコードの種類によって、回転数を変えることが出来たのである。
LP盤をドーナツ盤のスピードで再生すると、曲が早くなって、ピッチも上がった。
それと同じで、人間も加速がつくと喋ってる言葉のピッチも上がる。

僕は、寝起きは「なんで怒ってるの」というくらい、暗い声なのだけど、
テンションが上がってくると、どんどん言葉のピッチが高くなってくる。

それで、若い頃はあんまりピッチが上がりすぎて、声が女の子、というか、
おばちゃんみたいになることがあった。
この状態で出前をするから、ときどき女性の配達員と間違われることがあった。

なんか、事務所の奥から嬉しそうな顔をしたおじさんが出てきて、
「あれ、お姉ちゃんは?」
と、キョロキョロするのだけど、
目の前にいるのは身長170センチのゴッツイ顔したアンちゃんなので、
「なんだよ、男かよ!」
と怒り出すことになる。

自分もその気持ちはなんとなくわかるから、申し訳ない気分になる。
親父とおばちゃんばかりの職場で、いいかげんウンザリしているところへ、
突然、若い女の子の声が聞こえてくれば、
そりゃ男児たるもの、スキップしながら玄関に向かうものさ。

まあ、そんな錯覚も、僕が二十代の前半だったからで、
三十前くらいからは、さすがに声がオジサンになってきて、
高い音は出なくなってしまった。

今では僕の声を聞いてときめいてくれる男性は、
皆無である。
元が高い声なものだから、頭の軽いナンパ親父みたいな声になっている。

逆に、若い頃オッサンみたいな声だった後輩さんが、
この頃は円熟してすごく渋い声になっていたりするから、
くそ、何だこの野郎、僕だってそんなセクシーダンディな声になりたかったぞと、
悔しい思いをしていたりする。

それはともかく、
出前はやっぱりきれいなお兄ちゃんかお姉ちゃんが望ましい。
何より、きれいどころ目当てにまた注文しようというリピーター客を獲得できる。

自分が超絶イケメンだったら、ラーメン屋は大繁盛だったろうなと、
看板アニキになれなかった若き日の自分を不甲斐なく思ったりもするのである。

なにせ、イケメンはすごい。

東北で大震災と原発事故があった数か月後に、
すごいイケメンが山のような果物を抱えて
「お兄さん、買ってください」
と玄関口にやって来た。

別にそっちの趣味はないのだけど、
なんかイケメンというだけでうれしくなっていまい、話を聞く。
「こっちの蜜柑は長野産なんですよ」
と蜜柑の箱を見せてから、
「こっちの梨は最高級の銘柄なんですよ」
と、特に産地を告げることなく、なんだか長野産であるかのような流れで話を進める。

「買っていただけませんか」

目の前でイケメンボイスでささやかれると、ノーマルな僕でも悪い気はしない。
産地がどこでも構わないや、という気分になって、
ついつい買ってしまった。

梨はすごくおいしかった。

これは訪問販売の話なのだけど、
自分もあれくらい甘いマスクと、トリッキーな話術があれば、
その道でひとかどの人物になれたかもしれない。

皮肉でもなんでもなく、割と本気でそう思っている。

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面倒見のすごくいい方で、いろいろ生活物資を援助してもらったけど、
「かわいいから」という理由で頂戴したディズニーのお菓子の入れ物だけが、
今でも小物入れとしてのこっていたりします。

そんな恩人にこの仕打ちはひどいな。


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