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2013年9月 1日 (日)

校歌

学校の校歌なんて、なかなか聴く機会はない。
せいぜい春夏の甲子園とか、お子さんの卒業式くらいのものだろう。

自分のこととして考えると、中学と高校の校歌は断片的にしか覚えていない。
ちゃんとした口語の、スマートな校歌なのだけど、
それだけに頭に引っかかるところがない。

ところが、小学校の校歌と言うのは、大人になってもフルで歌えたりするのだ。
しかも、僕の小学校は古くは寺小屋までさかのぼれる歴史あるところで、
「何かの呪文ですか」というくらい、
バリバリの古語だったりする。

♪朝日の光まずにおう、なかの都の上野なる
♪わが学び舎は丘のべに、松とさかえんよろず世に

現在でもこの校歌なのかはわからない。
案外わかりにくいから今風に変えられているかもしれない。でも、
自分はこの校歌が、わからないながらも大好きだった。

創立百年記念のとき、学校の記念本をいただいたのだけど、
その中に草書体の校歌を載せた絵葉書の写真があって、
二番までしかないと思っていた校歌に、実は三番があることを知って驚いた。

♪よしの帝の大尊、胸に刻みつ日に月に

とはじまる三番は、戦後に民主主義的でないという理由で削除されたのだろう。
もったいない。

呪文のようでわかりにくい校歌だけれど、歌うと小学生にも格調があることがわかり、
卒業式で歌ったときはそれはそれは感動的だった。
高校の卒業式の時なんて、一番は全員が歌えたけれど、
二番以降は伴奏の音楽だけが虚しく流れ、終わると失笑のざわめきが起こった。


校歌と言えば思い出すのが、ドイツの作曲家ブラームスの「大学祝典序曲」で、
ブラームスがドイツの大学から博士号を贈られるとき、贈呈条件として作曲したものだ。
俗っぽい曲だからと演奏される機会は多くないけれど、
自分はこの曲がなぜか大好きで、元気になりたい時にはよく聴いたりする。

曲のキャラクターは明快で、大学の校歌のメロディをつなぎ合わせ、
そこにブラームスの作曲技法の粋を込めて、壮大な序曲に仕立て上げたものだ。
だからどこかで聴いたようなメロディが飛び出してきて、とても面白い。

自分より年齢が上の世代だと「NHKラジオ講座」のテーマソングとして有名らしい。


西欧で校歌が生まれた背景は、自分はよく知らない。
おそらくキリスト教の讃美歌とか、革命歌とか、
たくさんの人の心を一つに結び付ける手段として、歌が発達してきて、
それで自然と「俺たちの学校の歌を作ろう」と言う発想が生まれてきたのだろう。

日本ではこういうものは生まれてこなかった。
日本で唱和と言えば仏教の念仏で、
これも西欧の讃美歌に似ていると言えば似ているけれど、
ここから「徳川武士団の歌」とか、「幕府開成所の歌」なんてのは出てこなかった。
「水戸藩歌」とか「長州藩歌」なんてものがあれば、是非聴いてみたいけれど、
江戸時代にはついにそういうものは生まれてこなかった。
廃藩置県があと十年くらい遅れていたら、
あるいはどこかの西欧かぶれが作っていたかもしれない。

今からでも誰か作らないものだろうか。
野球の球団歌みたいで、歴史好きには受けると思うのだけど。


日本で校歌が作られるようになったのは明治の二十年以降のことで、
特に大学の校歌は戦前は大いに歌われたようだ。
「都の西北、早稲田の森に~」
というのはたいていの人が耳にしたことがあるだろう。
もっとも自分は、
「都の西北、早稲田のとなり、馬鹿だ馬鹿だよ俺たちは~」
と、バカ田大学の歌として覚えていたりする。(天才バカボンのパパの出身校)

学生が酒を飲めば、共通の歌として校歌を歌った。
歌うことで団結し、友情を深め合うことが出来た。
ファウストか何かでそんなシーンがあったような気がする。
西欧では酒を飲みながら肩を組んで歌うような伝統があって、
それが明治期から大正・昭和の日本に入ってきて、日本人も歌うことを覚えた。


最近は校歌と言うのも、すっかり形骸化した感じがするけれど、
それは学校単位で団結する必然が希薄になったからで、
団結よりは個人の生活が重要視されるようになれば、歌の文化は当然すたれる。
日本の音楽業界の衰退は、終身雇用制の崩壊と無関係ではないのかもしれない。
日本人が集団で団結する機会と言うのは極端に少なくなったし、
団結することそのものが、なんだか気恥ずかしいような時代になってしまった。

今では歌は集団で歌うものと言うよりは、個人が楽しみに歌ったり聴いたりするもので、
こういう状態になるとなかなか大ヒットと言うのは生まれてこない。
自分は校歌や革命歌をみんなで歌って集団催眠状態になるのも怖いなとは思うので、
それはそれで仕方がないのかなとも考えるけれど、
学生時代にみんなで酒を飲みながら野球の球団歌を歌った楽しい思い出があって、
あんな愉快なことをもう一度くらいはやってみたいな、とは思う。

「校歌」というお題で考えているうち、こういう文章になってしまった。

P1010744

王蟲とゴジラは頂き物。王蟲はなぜか怒っている。

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