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2014年9月17日 (水)

文明開化の男たち~福沢諭吉~

(※以下は何か月か前に書いた文章です。一部過去のブログと重複します)

 1

福沢諭吉と言えば、一万円札です。
ああ、福沢先生といっぱいお知り合いになりたい!

それはさておき。

自分と福沢諭吉との出会いは太田じろうさんの漫画でした。
この本は今でも学研の本として手に入ります。学研さんえらい。

初版が1980年とあります。35年前の漫画です。

はじめて読んだのはたぶん学校の図書館です。日本の偉人に興味があったので、
「学研まんが 人物日本史」というシリーズを読みまくりました。
そして、「西郷隆盛」と「福沢諭吉」を担当されていた太田じろうさん、
この方の絵に惚れました。
すごく上手い絵です。
ネットでいろいろ調べていたら、漫画家さんでこの方の絵をべた褒めしている方がいて、
その方がアマゾンのレビューに怒っていたのですが、
自分もまったく共感します。太田じろうさんの絵はすごいです。

で、何年かしてからお小遣いで買い求めまして、
「西郷隆盛」と「福沢諭吉」を繰り返し読みふけりました。

内容も面白いですが、やっぱり自分は絵に惚れていたのです。
ある意味、とても影響を受けた作家さんだと思います。

で、結果として西郷隆盛と福沢諭吉の人生についてはある程度頭に刷り込まれまして、
幕末から明治への日本の歴史を考えるとき、この漫画の知識が骨格になっています。

ですから、福沢諭吉について語る時はまず太田じろうさんの漫画を出さなきゃいけない。

次に手塚治虫先生の「陽だまりの樹」です。
これは、触れていいんだろうかと躊躇してしまうのだけど、
福沢諭吉の「福翁自伝」には手塚治虫の御先祖様が出てきます。
それも、手塚先生からすれば「こんちくしょう」と思うような書かれ方です。

若い頃の福沢諭吉は蘭学者緒方洪庵の「適塾」で蘭学を勉強しています。
「福翁自伝」で諭吉が「適塾」について語る時、自分の青春の思い出ですから、
それは生き生きと面白おかしく回想するわけです。
豚の仕分けをしてその肉を食べたとか、橋の上からみんなで皿を飛ばして遊んだとか、
川に船を浮かべてアンモニアの生成実験を行ってえらい目にあったとか。

こういう愉快な話は手塚先生の漫画の中でも生き生きと再現されています。

ところが福沢諭吉がなんか人相が悪い。目つきが陰険です。

後年、「福翁自伝」を読むことがあって、手塚先生のご先祖のくだりを読んで驚いた。
……あんまりひどいんで簡潔に書くと、手塚君の遊女屋通いがひどいんで説教をした。
今度行ったら坊主にすると約束したのだが、
それから真面目に勉強し出したので面白くない。
そこで遊女からの手紙をでっち上げて遊女屋に行かせた。
諭吉先生、鬼の首を取ったように喜んで、手塚君を坊主にしようとした。
まわりが止めるので酒と食い物を奢らせて手打ちにした。

これでは福沢諭吉の面相も悪くなろうってもんです。
案外、手塚先生が「陽だまりの樹」を描いた執筆動機は、
ご先祖様の名誉挽回だったのかもしれません。

 2

別に弁護するわけぢゃありませんが、福沢諭吉は手塚君に嫉妬していたのだと思います。
なにしろ福沢は貧乏な中津藩の、その中でも貧乏な侍の家の出身ですから、
さんざん苦労して緒方洪庵の元に弟子入りしています。
それなのに一方の手塚君は徳川家の御典医か何かの子弟だったと思うけど、
たいそう立派な家の出て、身なりも人物も立派だったりします。
そういう立派な人が大坂の「適塾」まで学問をしに来ている。
お金があるから島原の女郎まで買っている。(福沢は生涯で奥さん一人のみ)
ちょっと面白くない。いじってやれと思うのは、まあ、無理ないのかもしれません。
なにしろ、まだ二十歳くらいの青年のやることですから。

そんな貧乏な福沢諭吉ですが、百年後には日本の高額紙幣の肖像になるわけですから、
大したものです。
もっとも、今日本の紙幣になってる人って、みんな貧乏で苦労した方たちばかりですけど。

福沢諭吉の歴史的な功績はたくさんあります。
ベストセラー作家として「西洋事情」「学問のすゝめ」の著作があります。
これらの本が飛ぶように売れて、一般的な日本人の思想は大きく変わりました。
他にも、慶応義塾の創設とか、いろいろありますが、
一番影響力をもったのは、上にあげた二冊(分本だけど)でしょう。

「西洋事情」は自身の西欧体験を元に書かれた著作です。
慶応三年、あと一年で江戸が終わるという時期に発売されています。
西欧の紹介として、法制度から始めて最先端の文明に至るまで、
江戸時代の一般人にも理解できるよう、見事に構成されています。
(※洋書の翻訳抜粋だそうです)
僕はななめ読みですけど、
見世物的に「ガス灯だぞ!」「鉄道だぞ!」「電信だぞ!」「すごいだろう!」
みたいな書かれ方はしていません。
冒頭から西洋が何かを、社会制度からだんだんと説明しています。

個人的に面白かったのは学校のところで、
六三三制みたいなものや、運動場や鉄棒、ブランコ投の器具が紹介され、
学問には健康な肉体が必要なのだと記されています。
実際、翌年に慶応義塾の校舎が作られた時、そこには運動場とブランコがありました。

現代人の日常に福沢諭吉が与えた影響は甚大だと思います。

 3

そんな福沢諭吉ですが、彼は幕府から給料をもらっていた幕臣でもありました。
彼は当時数少ない、英語が読める知識人だったのです。(話す方は無茶苦茶でしたけど)

福沢諭吉が江戸無血開城後、彰義隊で有名な上野戦争のとき、
慶応義塾で経済の講義を平然と行ったのは有名な話ですが、
この時の彼の頭の中は、「いよいよ文明開化だ!」という考えはなかったはずです。

薩長が幕府を潰して文明開化の流れを止めようとしている。

たぶん、こうじゃなかったかと思います。
だからこそ、学生たちにオランダの例を出して、
「オランダはナポレオン戦争のときフランスの支配を受けたけれど、
日本の出島にある領事館でオランダ国旗をかかげ続けたのだ。
だから諸君も出島のオランダ人の気概に習って、勉学をやめてはならないのだ」
なんて話になったのでしょう。
この場合のオランダは徳川幕府であり、フランスは薩長ではないかと思います。

自分などはずっと勘違いをしていたのですが、
文明開化というのは古い徳川幕府を新しい明治政府が倒したことで起こったこと、
ではないみたいです。
徳川幕府は慶喜公や小栗上総介らの政策によって文明開化を推進していました。
慶応三年には築地のあたりに外国人居留地を作り、
築地ホテルなんてハイカラなものまで建設中でした。

そもそも、福沢諭吉が慶応義塾を作ったのは、
江戸の中津藩邸が外国人居留地の場所としてお召し上げになったため、
そこで私塾を続けられなくなった、というのが理由だったりします。

福沢の目から見れば、江戸で文明開化は始まっていたのです。
外国人は普通に日本橋あたりを歩き、芝居小屋にも入れましたし、
料亭で食事することも出来ました。
イギリスの日本語通詞アーネスト・サトウの本を読むと、
大政奉還の前日、彼は江戸の酒どころで栁川春三と鰻飯を食べています。
そればかりか、珍しい本を求めて古本屋通いみたいなことまでやっている。

外国人が江戸庶民の生活に入ってくれば、文明開化は必然です。

ところがその江戸の町を薩長が占領してしまう。
そのあと「これからは養蚕の時代だ」というので、
江戸文化の粋をこらした大名屋敷を破壊して、桑畑なんて作り始めている。

福沢諭吉の目から見れば、明治政府は文明開化の敵と映ったのではないでしょうか。

 4

明治維新というのは、徳川による文明開化と明治政府による文明開化、
ふたつの文明開化の戦いという側面もあるのかもしれません。

このふたつの文明開化の違いは、外国との接し方にあると僕は思います。

徳川幕府の考えた文明開化は、外国勢力に対して割とオープンです。
徳川将軍家からしてみれば、攘夷という思想はもっとも遠いものです。
外国と戦争をするよりは、のらりくらり誤魔化してうやむやにしてしまえという、
よく言えば平和的、悪く言えば、対処療法的なその場しのぎの文明開化です。

対する明治政府の文明開化は、もっと現実的です。
「国を富ませ、諸国列強と肩を並べる強大な国家を作り上げる」

思わず、

「この文明開化の根っこには攘夷思想があり、富国強兵はその進化型である」

と書いてしまいそうになるのですが、それはさすがに言い過ぎかもしれません。しかし、
明治時代が国民の生活よりは軍事的な国家体制の建設を急いだのは間違いありません。

僕はその一方が正しく、一方が間違っていると言えるほど勉強したわけではありませんが、
明治維新がふたつの文明開化の可能性のうちの一つだったというのは、
まず、間違いがなかろうと思います。

(ここまで書いて文章が中断しています。このあと別の文章を作り直していますが、
これはこれで悪くないので、載せます。続きは「諭吉と海舟」の方で)

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