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2015年6月

2015年6月14日 (日)

いわずもがな

「鉄子の育て方」の最終話を出版社に渡しまして、一週間ほど雑用に追われておりました。

その間、六月だし、気候も良かったのであちこちぶらついたりもしました。
まあ、医者に運動しろって言われたせいもあるんですけどね。

それで、鉄子の育て方については、とても気に入った作品ではあるし、
いろいろ書いておこうかと、思ったのです、散歩しながら。

「風より疾く」の時もそうだったけど、
連載が終わってもキャラクターは頭の中で動いてますので、
いろいろ整理しておかないとなんだか落ち着かないのです。

「鉄道の企画があるんだけど、やりませんか」
と声をかけていただき、2013年の冬に講談社に出向きました。
もともとはドラマの企画だったものを、並行して漫画にする、というものです。
この時点で原作のやまもりさんの中ではかなりイメージが出来上がってまして、
ヒロインはあずさ、その先輩にかいじ、というのも、決定していました。
ドラマのキャストはあの時点では決まってなかったんじゃないかな。
一話のネームを作った時点では、神宮前さんの名前もまだなくて、
「とりあえず真田十勇士の名前を入れときます」
と仮名で進めた記憶があります。
神宮前さんは筧さんでした。
例のハンサム君にも、この時点では仮名があったはずです。
結局、名前が出てこなかったのだけど。
自分がネーミングしたのは最終回のあずさの友人だけのはずです。

かいじと神宮前さんのキャラデザはほぼ一発で出てきました。
かいじは高校の頃のクラスメートをイメージしました。
すげーいいやつ。
神宮前さんは、「丸い目で真面目な人」ってイメージ。
デザインしてから、某「究極超人」の絵柄に似てるなとちょっと思いました。

実際に役者さんが演じていらっしゃるのを見て、「あ、イメージに近い」と思ったりして。
かなり若い方ですけど。

あずさのデザインは最初はもっとお嬢様っぽかった。
髪のイメージは薄い栗毛色で、ロングヘアー、イアリングは星の形だった気がする。
まあ、あのままだったら「お馬鹿なあずさ」にはならんかっただろうな。
典型的な巻き込まれヒロインで終わっていたと思います。

編集部の方で物言いがついたので、一度書いたネームのあずさを全部修正しています。

その後、変更したネームをやまもりさんに観ていただいたら、
「ヒロイン役の女優さんに似てる」
と喜んでいただけました。
実際、小林さんはピッタリのイメージだと個人的には思います。僭越ですが。

一話のネームの時点で描き直した部分が他にもいくつかあるのですが、
エレベーター乗り場の「鉄道テレビ」のプレートの下に
「もつ焼きもーっぁると」
と入れたのはやまもりさんです。
なぜそこにこだわる?と思っていたら、ドラマの中にいっぱい出てきたので、
「そういうことか」と合点がいきました。

●二話目の「いすみ鉄道編」では、まだ脚本が上がっていなくて、
やまもりさんがドラマ用に作ったプロットを見て描いています。
ライバルの井川さくら登場。
この時点では結構若いキャラクターのつもりで描いていたのですが、
のちにドラマの全体像がわかてくるにつれ、そちらに合わせて年上になっていきます。
書き進めるうちにどんどん好きなキャラクターになっていきました。
ネームで京都弁を喋らせたりして遊んでたけど、ページ数の関係で自主的にカット。
たしか北斗星の回だったかな。

●三話目が三重県の「三岐鉄道編」。
これはドラマの脚本を見て描いたはずです。
ここであずさの動かし方がようやくわかってきて、動くままに自由にさせています。
脚本が良かったのでしょうね。
ナローゲージの鉄道は本当にかわいいので、機会があれば是非。

●四話目は三岐鉄道編の脚本にあって、切り捨てるのは惜しいと思った「駅弁」の話です。
ここで初めて熱田君が出てきます。単行本化の時に二話目で書き足してるけど。

熱田君はドラマの中ですごく重要なキャラクターで、本来なら一話目で出てくるべき、
なのですが、
一話を描いた時点では僕の中には存在していませんでした。
脚本を読んで「これは使わなきゃ」と思ったわけです。

あとでドラマになったものを拝見したのですが、やっぱり、
スタッフの思い入れがかなり強いキャラクターだと感じました。
女性上司のくだりも三十路独身男の悲哀があって、出来れば使いたかったです。

本来、局長と熱田君のお話なのですが、
漫画の局長を少し嫌な奴に描きすぎたので、神宮前さんにしました。
個人的に神宮前さんが気に入ったキャラクターだったのでいっぱい動かしたかった、
ってのもありますが。

●五話目が京急のお話。
この話は六話目で一度区切りをつけるため、やまもりさんのプロットにあった話を、
ちょこっとアレンジしています。ドラマには無い話ですね。
飯島さんのキャラクターが「京急は早い!京急は安全!」とか叫びだしたときは、
笑えてネームを描き続けられなくなった。
ペアシートのくだりが、プロットを読んだ時から頭にひっかかっていて、
そこをどうしても描きたかった。
プロットでは井川さくらが出てきて邪魔をする、みたいな感じだったけど、
ページ数の関係で割愛。

●六話目があけぼののラストラン。
ドラマの脚本がかなり熱かった。実際、ドラマの方も熱かったです。
32ページじゃとても入りきらないので、かなりアレンジしてます。

●七話目、音鉄の話。
ドラマ版を拝見してから書いたはじめての話。
そのせいか、かなりドラマ版に忠実。
というか、脚本を見ながらネームを書いたので、
名鉄のくだりとか、ドラマで変更した脚本のエピソードがそのまま出て来てます。

●八話目、青森の弘南鉄道。
これはドラマじゃなくて、テレビの鉄道番組を漫画に置き換えてます。
やまもりさんが「やりましょう!」と強烈プッシュしたお話です。

この時の鉄道テレビでのあずさの髪形がかわいかったので、最終回でまた使ってます。

●九話目、鉄道模型の話。
本来、ドラマ版の最終回のための伏線になる話なのだけど、
「相当な準備をしてからじゃないと描けない」と編集サイドと話し合って、
ここへ持ってきました。
脚本の薀蓄がすさまじかった。ドラマ版でカットされた薀蓄も使ってます。
でも、「青大将がすごい!」ってのはドラマの方が良く伝わります。
なんだあの緑の蛇。

個人的に京子ちゃんがお気に入り。

この回の井川さくらに感情移入しまくって、あのオチになったのだけど、
「実はあずさはニセプンの正体に気が付いていた」というのが伝わりにくかった。
でも自分で読み返しても大好きな話の筆頭だったりします。

●十話目、鉄道デートの話。
基本的にドラマのまま描いてます。神宮前さん回ですね。
ドラマの方の、神宮前さんと洗濯物が消えていた、という演出が大好きです。
でも、漫画だとわかりにくくなってしまうし、あの時の神宮前さんの顔が見たかったので、
ああいうオチになりました。

●十一話目、鉄道デートパート2。
これは僕がやりたがった話。ドラマを見て、「実際やったらどうなるんだろう」と、
ちょっとワクワクした。
かわすみの井川さくら大好きテンションがマックス。
ちょっと暴走しすぎたかもしれない。
ネームでは最後の1ページをかなり早い段階から描いていて、
実際のラストネームは「ちきしょう……」のページだったのだけど、
あんまりかわいそうだったので隣にマスコットキャラを描き加えた。

あすさを男装させたのは割と自然な流れ。
本当はあの登場シーンでヲタクファッションの解説がしてあって、
担当さんも写植を用意してくれていたのだけど、
自主的にカット。なんかえげつないと思った。
白い靴下は絶対だったのだけど、単行本のカラー(表3折り返し)では肌色になってる。

あずさがかいじのためにコーヒーを入れているシーンで、
担当さんといろいろやり取りがありました。
あずさがかいじのことが好きだって、言わせるかどうかって話もあったのだけど、
自分は「それは言葉にすることじゃなくて、読者が感じることだ」と考えて、
現行の形になりました。

●十二話目、「岳南鉄道編」
製紙工場地帯を7000系が走るシーンの背景を頑張って描きました。
実際に岳南鉄道に出向いて、やまもりさんと並んで写真を撮ったのだけど、
二人とも同じ○○製のカメラだったので、
「やっぱりこのメーカーは夜景には向いてないよね」
なんて話をしたと思います。
それでも、やまもりさんは伊豆急行を取材する時には、
同じメーカーの最新機種に乗り換えていて、
「夜景もちゃんと撮れるんですよ」
とすごくご満悦でした。
僕も新しいカメラが欲しいです。

●十三話目、「時刻表編」
この回については以前にブログでいろいろ語っています。
このへんになるとヒロインのあずさが勝手に動いてくれるので、
ネームを書くのがすごく楽しかったです。

●十四話目、「北斗星編」
この回のネームはいつもの二倍くらい描いて、半分に圧縮しています。
ネームに相当時間をかけているので、割とガッチリ描けてるはずです。
ラストシーンが一番好きな回。

この次の回のために編集部で打ち合わせをするとき、
やまもりさんに渡された原稿のコピーを見て、
白い雪が真っ黒になっていたため、あわてて修正しました。
パソコン上で雪のスクリーントーンを自分で作って、
それを降らせていたのですが、
コミックスタジオ形式のファイルをフォトショップ形式に変換するとき、
白いトーンがすべて黒く変換されたみたいです。

あと、実際にやまもりさんと二人で北斗星に乗って取材をしました。
札幌では自分は一人で雪祭りを満喫していたのだけど、
やまもりさんは北海道の雪の原野で鉄道写真を撮っていらっしゃいました。
この人、ほんまもんや。

●十五話目、「鉄道写真編」
ついにきたか!って回。広田先生の許可をいただいて、
作品をトレースさせていただきました。
アシさんが半分、自分が半分て感じ。
アシさんはパソコン上ですべて出来るのですが、
自分はトレーシングペーパーを使って、ピグマでなぞってます。

この回の一部が岳南鉄道編とリンクしていますが、
岳南鉄道編を描いた時から、どこかで使おうとずっと思ってました。

あと、個人的なことだけど、
この回を執筆中に鼻血がとまらなくなって、
病院に駆け込み、入稿がかなり遅れました。
関係者の方、ごめんなさい。

●十六話目、「えちごトキめき鉄道編」
この回の横見さんがすごく好き。
ご本人の行動をなぞってるだけなんだけど、
すごく漫画してる。

●十七話目、「伊豆急行編」(まだ掲載されていないので、読みたい方だけ)
伊豆急行を取材させていただいて、帰りに三人でリゾート21で帰るとき、
なぜかビールで乾杯!みたいな空気になりました。
担当さんが勧めるので、自分も結構飲みました。
ことの始まりは、やまもりさんが美味しそうにビールを飲み始めたことにあります。
すげー美味しそうに飲んでるから、担当さんが我慢できなくなった。
それからは親父ギャグのオンパレードで、面白かったから帰ってからメモに残してます。
まあ、ブログにはアップ出来ないシロモノですけど。

最終回ってことですが、企画が企画だけに自分にプランがあるわけでもなく、
ただ、キャラクターに好き勝手をさせたって感じです。

思いのほかあずさが動きまくって、ネームを描くのがかなり楽でした。

そのネームを描いてる途中、友人の訃報があって、
その子のことをいろいろ思い出しながら描いている部分もあります。

ラストシーンは、鉄子の育て方のドラマの初期プロットにあったエピソードで、
編集部でやまもりさんたちと打ち合わせをしているとき、
「あれを使いたいです」
と提案しました。

以前、男三人で青森までプチ旅行をしたとき、
深夜バスで朝の東京に戻ってきたのですが、
名古屋の友人はそのままアレを撮影するために、静岡の方まで行ってしまいました。
江ノ電乗ってから行くって言ってたっけ。

そのことがずっと頭に残っていたので、
アレをラストシーンで使う、という発想になったのだと思います。

あと、滅茶苦茶どうでもいいことだけど、
この回の人物の目は全部ピグマで描いてます。
その方が目が印象的になるんじゃね?と思いつき、ちょっと試してみました。

以上、長々と作者語りをしてしまいました。言わずもがななことなのですが、
なんか語りたかったので語ってしまった。
自分は、この作品がかなり気に入っているというお話です。

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