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« 文明開化の男たち(補足) | トップページ | 太平記 »

2016年5月31日 (火)

レビュー、ありがとうございます。


アマゾンのレビューとか、食べログとか、ときどき目を通すこともあります。
「この本、面白いのかな」
「近所に美味しいお店はないかな」
なんてとき、とても重宝します。
すぐ近くにシュークリームの美味しい洋菓子店があるのですが、
まあ、入ったことはないのですが、
「あの値段であのシュークリームはすごい」
みたいなレビューをされていました。
と同時に、
「店員の態度が悪い」
とか、
「接客がのろい」
といったネガティブな評価もされていました。

以来、その店の前を通るたび、かわいい制服を着てコマネズミのように働く、
洋菓子職人の女の子たちを見ると、
「そうか、態度が悪いのか」
「あんなに一生懸命働いているよう見えるけど、接客はのろいのか」
と、あれこれ余計なことを考えるようになりました。

本気でそれを真に受けているわけではないんですけどね。

アマゾンでよく見るのはクラシックCDのレビュー。
これは、ものすごく参考になる。
というか、意外と面白い。
その演奏家のコンサートに行った思い出とか、
その人柄まで書いてあったりします。
で、クラシックのCDなんかは千円しないものも多いので、
けっこうポチポチ押してしまう。

自分も、漫画でお仕事をさせていただいているので、
いくつかレビューをいただいていたりします。
褒められていたらすごくうれしいし、
問題点を指摘していただければ、大いに反省したりもします。

レビューは匿名で自分なりの論評を載せられる場です。
アマゾンだと、一応運営の目は通しているのかな。
一流の評論家顔負けのレビューもあれば、
「何かつらい人生を送られているのかな」
と、心配になってしまうくらい攻撃的なものもあります。

中には、その攻撃的なレビューに紳士的に反論するレビュー、
なんてものもあります。

作家なり演奏家なりは、基本的にこれらに反応しないものだと思うのですが、
まあ、みんないろいろ一喜一憂していると思いますよ。
僕はそうだし。

今回、自作にレビューをいただきまして、
「あの解釈でいいものか、ご指摘いただけませんか」
と、とても丁寧なメールをいただきましたので、お答えさせていただきます。

大丈夫です。あれで解釈は間違っていないです。

「はまりんこ」は20年も前のデビュー作ですし、記憶もまばらなのですが、
都会と田舎の対立構造とか、故郷に対する愛憎半ばする思いとか、
当時20代だった自分が考えていたものは、だいたいあの通りのものです。
むしろ、
「無いはずの故郷」
みたいな表現をしていただけて、かえってこちらが教えられた感じです。
上手い言い回しだと思います。

「はまりんこ」を描いていた当時は江戸川区に住んでいました。
オウムのサリン事件が起こって、朝、友達に電話でたたき起こされたのもあの頃です。
そんな不安定な世相の中で、ひたすら漫画のネームを描いている自分、
もっと違った生き方があったんじゃないかな、
誰かが故郷で自分を無理やりにでも引き留めてくれたらな、なんて、
かなり悲観的になっていた時期のものです。

いや、いたんですけどね、
「夢を見るのはやめとけ」
みたいなことはかなり言われていて、応援してくれた人たちよりも、
かえって印象が強いくらいです。
まあ、それに対して、
「夢ではない、これは現実なのだよ」
と返していた自分はかなりのドリーマーでしたが。

だから、東京に来て何年もフリーター生活を送るうち、
もし自分に「絶対的な故郷」というものがあったら、そこで幸せになれたんじゃないかなと、
妄想したりもしたのです。
かわいい幼馴染がいて、自分のことを待ってるみたいな、
野郎本位の身勝手な妄想なのですが、
そういうものを人工的に構築して、みんなが幸せになる世界は作れないかな、なんて、
妄想はどんどん肥大化していったのです。

例えば、日本の歴史を振り返ってみると、
時の権力者は「神話」と「巨大なモニュメント」と「官位」みたいなもので、
絶対の秩序を構築したわけです。
天皇なら、「記紀神話」「都の造営」「天皇の称号」だったりします。
「時間」「空間」「人間」のそれぞれに揺るぎのない中心点を作り上げれば、
国家という共同体はたぶん成立する。

それを漫画の中で構築しようとしたのが「はまりんこ」です。

町の中心に「こけし」がそそり立っているのは、
あれがあの世界の空間的中心軸だからです。
時間的な中心軸は「マコトとの思い出」だったのかな、
人間の中心は「筆おろし」を営む美貌の女性。

そして強烈な「共同体への帰属意識が生まれる」と、
こんな感じで物語を構築していきました。

自分もあれからだいぶん大人になりましたので、
こういう青臭い妄想はいかがなものかと、割と批判的になってしまうのですが、
地方がどんどん崩壊して、「故郷」が観光スローガンみたいになってくると、
「本当の故郷って何なのだろう」
って、マジメに考えてしまいます。

とりあえず、自分の今住んでいる地域を散歩しまくって、
新しい発見をしまくることが、当面の自分の目標なのですけどね。


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コメント

かわすみ先生、再びこんにちは!

わざわざ御返事頂きまして、恐縮です!

あの解釈で良い、とのお話で一安心致しました。

余計な部分もあったかも知れませんが、そちらはお見逃し下さい(笑)

時間・空間・人間の三位一体?な中心軸は全く気付きませんでした(汗)

やはり奥が深い作品ですね、 リメイクか、続編が見たくなりました。

・・・また余計な事を書いてしまって済みません(汗)

そういえば一昔前に、

ファーストフードならぬファースト風土という言葉があったような気が致します。

どの地方も均一化した街並みになり、無個性と化していった、

バブル経済の産物とでも申しましょうか。

あるいは文学の一ジャンルとして、

「失われた故郷」(小林秀雄?)といったようなモノがあったかもしれません。

また、青臭い妄想、とのことですが、

恐らくそれから逃れられる事は、誰しも一生無いでしょうし(笑)、

一つの作品として昇華されたのは素直に敬服致します。

・・・色々書き散らしてしまいまして、済みませんでした。

それでは、これからの御活躍も期待しております。

ありがとうございました。

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