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2016年7月16日 (土)

サイダー界の長老

浅草行ってきた。
ちょっと寄りたい店があったのだけど、臨時休業だった。

ネットでは年中無休と書いてあったので、店の前で
「オー!なんてこったい!」
と頭を抱えたのだが、
年中休業中の自分が言えたことではない。

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浅草は五年ぶりくらい。前に来たときはスカイツリーがまだ建造途中だった。
街の景観そのものはまるで変っていないのだけど、
雷門をくぐって仲見世のある参道を歩いてみると、まわりが外国人ばかりなのでビビる。

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碧眼紅毛、アジア系、イスラム系の方もいらっしゃる。
まあ、浅草の雷門は実にわかりやすい東京のランドマークだから仕方ない。
あの「デザイン」を考えた人はすごいと思う。
なんせ、門なのに通行口に巨大な提灯を吊るして進路妨害している。
しかも、提灯のくせに光らない。
それどころか、夜になるとライトアップまでされている。
本末転倒も甚だしい。

でも、そういう「突っ込みどころ」のある建築物というのは、強烈なインパクトを持つ。
これを考えた人は「してやったり」と思ったことだろう。

夏の暑い日だったので、異国の方々もみな涼しそうな恰好をしている中、
ちらほらと浴衣姿の女性が目につく。
日本人はいない。みんな海外からの観光客である。
なるほど、日本に来たら一度は着てみたいコスチュームなのだろう。
後で気が付いたけど、雷門の向かいにはそれ専門のお店まであった。
浴衣という日本文化を楽しんでいただけるのはとてもうれしい。
僕もアメリカ大陸に行くことがあったらインディアンの格好で、
「ハオ!」
とやってみたい。

P1100553

仲見世は参道沿いに続く並びのお土産物屋さんなのだけど、
ここもターゲットは海外からのお客様だ。
日本刀とか、忍者装束とか、浮世絵Tシャツなんかを売っている。

P1100573

その中に、ちょっと不思議なものが商われていた。

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「もんきっき?」

不正解。モンチッチである。
日本では七十年代から八十年代にかけて大ブームを引き起こしたお猿さん人形である。
現地で素で間違えて同行者にアホな名前を告げてしまった。

なんでこんなものが大量に売られているのだろうと、ちょっと疑問に思った。
しかも、仲見世を少し外れたあたりにはそれ専門の店まであったりする。

僕にとってモンチッチというのは七十年代の記憶を強烈に思い出させるアイテムだ。
クラスにこの人形そっくりの女の子がいたのだ。
そばかすでショートカット、身長も小柄で、
なぜか体操着にブルマ、赤い鉢巻きの姿で回想される。
肌も健康的に日焼けしていて、なおさらモンチッチを連想させる。

まあ、それはよい。なぜこれが大量に販売されているかだ。
調べてみたら、日本国内でのブームよりも海外での熱狂の方がすごいグッズだったらしい。
いまだにこれを目当てに日本にいらっしゃる方もいるみたいだ。
そうか、じゃあ東京オリンピックのマスコットキャラはこいつで決まりだな、と、
勝手に納得する。

海外の方向けの観光地化が進んでいるとはいえ、浅草にはやっぱり日本情緒がある。
人力車が大量に走り回り、縁日のお面が売られ、金魚すくいの店まである。
それが外国の方のステロタイプな日本のイメージだとしても、
現代の日本人から見てもやっぱり懐かしいもんは懐かしい。

ふと喉が渇いたので花やしきのそばのお店で瓶入りのサイダーを買う。
ビー玉の入っている、あれである。

「写真を撮らせてください」

とおばちゃんに断ってパシャパシャやっていたら同行者がおばちゃんに指導をされていた。

「このくぼみにビー玉を挟んで止めるんだよ」

あとでとても悔しそうに「知識としては知っていたんですけどね!」とのたまっていた。
その人の生まれ育ったところではこのタイプのサイダーは売っていなかったらしい。
広島といえば呉、呉といえば戦艦大和、戦艦大和といえばサイダー飲み放題なのに。
(どんな連想だ)
熱心に写真を撮っていたら、店の奥から「サイダー界の長老」がいらして、
サイダーについてあれこれ蘊蓄を語り始めた。
「サイダーはのう、昔は山の冷たい水で冷やしたもんじゃ」
「なるほど」
「だから山のあるところにはサイダーがたいてい置いてある」
「僕の実家は名古屋なんで山がないです」
「ほう、名古屋には山がないのか」
「ひたすら濃尾平野が続いています」
「名古屋人は山を食っちまったのか」

白髪の老人は楽しそうに笑い始めた。僕もよくわからんけど笑った。
何でも戦時中は少年航空兵学校とかに通っていたそうで、
サイダーの話は途中から戦闘機の話になり、
そこから少佐だの中佐だのがいかに腹黒い連中だったかの話になった。

その間、同行者は炎天下にさらされ、外国人相手に花やしきの道案内をしていたとか。

サイダーの話はとてもためになった。
昔はビー玉止めのくぼみが四つあったことなんか、指摘されるまで忘れてたもんね。
花やしきにお立ち寄りの折は、是非このお店でおくつろぎくださいませ。

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ついでの話。
この二日後に炎天下の中散歩していたら、突然ポツポツと雨が降り始めた。
「ふふふ、こんなこともあろうかと折り畳み傘は持っているのだぜ」
と、四半世紀前に小岩駅前の傘専門店で買ったアイボリー色の高級傘を取り出す。
この時期の天候の激変にはすっかり慣れっこなのだ。

ところが、雨はだんだんと激しさを増し、雨粒が猛烈に地面を叩き、
しまいには雷まで鳴り始めた。
風は横殴りで容赦なく水しぶきを巻き上げる。
なんだ、この漫画みたいな天候の変わり方は。十分くらい前まではあんなに晴れてたのに。

傘はさしているけれど、首から下はすっかり濡れ鼠である。
街の人もみんな雨宿りををしながら、「かわいそうな人がいる」とこちらを憐れむ。

小学校の前を通ったら、グラウンドからの大量の雨水が排水口に収まりきらず、
道路側に鉄砲水のように噴き出していた。もう、笑うしかない。

最後の方は「雨に唄えば」みたいな感じで、気持ちだけは踊りながら家に帰ったのさ。

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