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2016年11月19日 (土)

磨く


年末がいよいよ近づいてきてる。
ご近所を散歩していると年賀状の広告があったり、早くもXmasの飾りつけををしていたり、
「もう一年が終わちまうのか」
とずいぶん驚かされる。
年を取ると時間の流れが早くなるというけれど、いくらなんでも早すぎるだろうと思う。

で、百円ショップで掃除のためのビニール手袋やらたわしやらを買い込んで、
ときどきチョコチョコとお掃除を始めている。
コーヒーを淹れるときとか、お湯が沸くまでの時間に鍋を磨いたりする。
これがなんというか、最近ものすごく楽しくなってきて、
気が付くとコーヒーそっちのけで鍋を磨いていたりする。

始まりは「行平鍋」だった。僕は勝手に「ラーメン鍋」と呼んでいるけれど、
木の握り手のついた小さめの鍋である。
デパートの催事場で職人さんが金槌で作っているのを見たことがある。
金属板を金づちで叩いて丸い鍋の形に仕上げていく。
「器用なものだ」
としばらく見入ってしまった。

その行平鍋も数年使い込めば柄の部分の木の棒が外れ、外側は黒い焦げ付きだらけになる。
「もうそろそろ新しいのに買い替えるかな」
なんて考えていたのだが、ふと思いついて百円ショップの汚れ落としでこすってみたら、
案外簡単に焦げ付きが取れて、デパートの催事場で見たあの金属の輝きが戻ってきた。
「これは……いけるんじゃないか?」
と思いついたのが運の尽き、それから1時間がかりでひたすら磨き続けた。
鍋の側面四分の一くらいが新品同様の輝きを取り戻した。
行平鍋というのはテフロンも塗装も何もないむき出しの金属だから、
必死で磨けば購入当時の姿が取り戻せる。
その「取り戻せる」という部分が自分の心に激しくヒットした。
それから数日間は原稿の息抜きにゴシゴシと磨き、
風呂上がりにゴシゴシと磨き、
寝起きの夢見心地にひたすらごしごしと磨き続けた。
で、新品同様にピカピカの行平鍋が戻ってきた。
それはもう、見事なくらいピカピカの行平鍋で、茶器を愛でる茶人よろしく、
鍋の底を撫でまわしては悦にいっている。

昔、「3年B組金八先生」だと思うけど、
学校のトイレ掃除をしていた悪ガキ男子生徒たちが、徹底的にトイレを磨き上げ、
その床に転がって撫でまわすというシーンがあったのだけど、あれに近い。
お掃除は愛情を育むお仕事なのである。

で、その快感に目覚めた自分は、次は油まみれのレンジ回り、鍋のフタと磨きまくり、
今日は煙草の脂で汚れた時計のお掃除をしていた。
この時計は外国製の安い目覚まし時計で、時間になるとR2-D2のような奇声を発し、
両脇のタイヤを回転させて暴れまわるという、面白商品である。
たぶん10年くらい使っている。
当初は床を暴れまわらせて遊んでいたのだけど、さすがに飽きたので、
仕事机の上でひたすら脂に汚れ続けていた。
安いプラスチックの外観なので、置物としてはあんまり見栄えのいいものでもない。
それが、磨いてみたらアンティーク調のいい感じに燻されていた。
買った当初の安物感がなくなって、なかなかの面構えになっている。
白いゴムの部分は変色して茶色いままだけれど、そこがまたなんとも味わい深い。
「いい仕事してますね」
ってなもんである。
このまま年末まで、自分はいろんなものを磨き続けるんだろうなと思う。

でもやりすぎるのはあまり良くない。
仕事で使っている丸ペンのペン先。小まめに取り換える人もいるけど、
自分は一か月か、下手すると一年くらい同じものを使い続けることがある。
当然、インクがこびり付いて黒い塊がびっしりついている。
で、ペン入れの途中で「磨きたい衝動」に突然襲われた自分は
ウエットティッシュでひたすら磨き続けた。ゴシゴシと磨いた。
金属の鈍い輝きが戻ってきた。
「ふふふふふ」
と悦に入りながら再びペン入れを再開する……と、なぜか書き味が微妙に違う。
紙の上を滑るまろやかな感じがなくなって、金属的に引っかかる感じがする。
どうも、あのインクのこびりつき具合にまろやかさの秘密があったらしい。

仕事道具はちょっと汚れているくらいが丁度いいみたいだ。

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