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2016年12月15日 (木)

忠臣蔵

このお話が歴史的事実を基にしているってんだから、人間はおそろしい。

今から300年以上も昔の話になるのかな。
旧赤穂藩の浪人47名が徒党を組んで吉良屋敷に侵入、屋敷のあるじを殺害した。
元禄15年12月15日、西暦でいうところの1702年である。
今歴史年表で調べた。

歴史的にどこまでが真実かは難しいところで、
有名な「松の廊下」の場面にしても、実際は違う場所だったという説もある。
確実なのは、300年前に47人の浪人が主人の敵の吉良上野介を殺害、
当時の日本人がこれを大いに賞賛し、
「あっぱれ忠臣、日本の武士道ここに極まれり!」
と大いに熱狂したという事実である。

「敵討ち」
というのは物語の題材としてまさに王道といってもいい。
ひじょーーーーにわかりやすい。
読者を引き込むための「主人公の目的」がメチャクチャはっきりしている。

「ご主人様が殺されたので復讐せずにはいられません」

そりゃそうだろうなと人々は共感するし、目的を達成すれば高揚感も味わえる。
四十七士の討ち入りの場面は物語の最大の見せ場であり、ドラマでやれば視聴率も稼げる。
まさに劇中屈指の名場面である

物語としての忠臣蔵は、このような理由で三百年間も生きながらえてきたのだろう。
実際よく出来てるし、僕はこのお話が結構好きだったりする。
でも、物語として面白ければ面白いほど、大きな疑問が出てくる。

「これって、老人を集団で襲ってリンチするってお話だよね?」

歴史的に残された史料を見ても、吉良が悪人だったという証拠は何もない。
天皇の勅使を迎えたイベントで逆上した浅野内匠頭に切りつけられた、
ただ、それだけである。
何故そんなトラブルになったのか、理由は一切不明。

「イベント責任者の吉良がスタッフの浅野をイジメたのだ」

というのは後世の作り話で、事実だけを見れば吉良老人はむしろ被害者である。
このことは赤穂浪士側から見ても同じだったはずで、

「うちの殿様が逆上して江戸城内で傷害事件を起こした」

としか認識していなかったはずだ。
だって犯行理由に心当たりがあれば後世に残してるはずだもん。
どう考えても悪いのは浅野のほうで、赤穂側がブチ切れる理由はない。
(内匠頭の当日切腹の処置には切れただろうけど)

この「犯罪者側の人間」がなぜか後世「あっぱれ忠臣の鑑」となった。
「忠臣蔵」が恐ろしいのは江戸時代にそういう摩訶不思議な現象が起きたところにある。
この事件には天才的な演出家がいる。
それはたぶん、大石内蔵助という赤穂藩の家老なのだろう。
後世の人間がでっち上げた虚像でもなんでもない、リアルにこいつはスゴイ奴だった。

作家、池宮彰一郎の「四十七人の刺客」が忠臣蔵を題材にしながらも画期的だったのは、
それが物語として語られてきた忠臣蔵を一切否定し、
歴史的な事実だけをつなぎ合わせて、メチャクチャ説得力のある小説にしたところだ。

前々回のブログでも「四十七人の刺客」について触れたので、
今回久しぶりに読み返してみたけど、やぱり面白かった。
たぶん吉村昭だいすきっ子の自分には、実証的な創作姿勢が肌に合っているのだろう。
自分を「悪人」と呼ぶ大石内蔵助には「あっぱれ忠臣」のイメージはほとんどないけど、

「これが本当の内蔵助なんだろうな」

としっかり感じさせるだけのものがある。忠臣以上に武士であることを貫いた男なのだ。

忠臣蔵もののファーストチョイスとしては絶対におすすめ出来ないけれど、
ある程度「赤穂浪士の物語」に馴染んだ読者にとっては、これくらい面白いものもない。
それまでの常識が次々と破壊されるさまは、快感ですらある。
おススメ。

ぶんか社さまの「昭和人情食堂」の最新版は今月末発売予定です。
編集長さまに「何かシリーズとしてのタイトルを決めてください」と言われまして、
いろいろ候補を上げて選んでもらったところ、

「東京下町恋どんぶり」

が正式なタイトルになりました。
当初からそのつもりで一話目につけたタイトルなので、まずはおめでたい。
発売されるコンビニ本の今回のテーマは「鍋料理」です。
どんな鍋料理を諸先生方が紹介してくださるのか、今からとても楽しみです。
僕はひねくれものなのでまたテーマからはずれますけど、お正月らしい漫画になってます。
だって鍋料理で最初に思いついたのが「味噌煮込みうどん」なんだもの。

発売時期が近づきましたら、またここで紹介させていただきます。

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