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2017年4月15日 (土)

散歩

桜の見頃もそろそろ終わりで、今年も「お花見」はできなかったなぁ。
テレビで上野公園のあたり、外国人観光客がお花見してるのを、
「なにあれ、クソうらやましい」
とぼやいたくらいか。
何年か前、桜の時期に上野公園を散策して、プチお花見を楽しんだのだけど、
あそこは桜並木にゴミ捨てスポットが何か所も設置されていて、
お酒の据えた匂いがなんとも場末めいていた。
ぶっちゃけ、臭かった。

上野が桜の名所になったのは、あの天海僧正の趣味らしい。
桜、松、紅葉を好んでいて、奈良の吉野から桜を引っ張ってきたとか。
その当時の桜はもう残ってないのかな、ほとんどはソメイヨシノなんだろう。
僕が行ったときはすでに中国人観光客がいっぱいだったから、
今年はさらにコスモポリタンな上野の花見になっていたことだろう。

3月からずっと仕事に集中していたのが、ようやく一息つくことができたので、
意味もなくブラブラ歩いた。俺は何を目指して歩いているのだろうと、
ぼんやり考えながら、足は自然と煙草屋に向かう。
仕事中はずっとマルボロをふかし続けたのだけど、また煙管をふかそうと思った。
安いし、ひと口ふた口ふかすと燃え尽きるし、煙草を楽しんでるって感じが、
ものすごく味わえる。

問題は、売っている場所が限られていること。
池袋の専門店に行けば確実なのだけど、そうそう池袋まで出かけるのもしんどいので、
近所にないものかと、煙草屋を見つけると片っ端から首を突っ込んでまわった。
果たして、某駅の踏切前の煙草屋にひっそりと置いてあった。
かわいいおばあちゃんがひっそりと店番をしている。

初めて買ったときは、お釣りと一緒にキャンディーのように包装されたチョコをもらった。
その晩、すさまじい腹痛を起こしたので、
「あの婆ぁ毒を盛りやがったか」
と壮絶な八つ当たりをしたのだけど、まあ、ただの八つ当たりである。
「宝船ください」
と、ベルギー王国製の煙草を隅の箱からい引っ張り出す。
ラッピングに葛飾北斎の絵がプリントされているので、そこが大のお気に入り。
自分も九十歳をすぎてから
「あと十年、いや、あと五年生きられたら本物の絵が描けるのに!」
と往生際の悪いことをほざきながら死にたいものである。

おばあちゃんが店の奥から顔を出す。
商品を渡すと、目を近づけて値段を確認しようとする。
刻みの煙草なんて、買う人はめったにいないのだろう。
「五百円……五百六十円かしら……」
印字がにじんでよく読めないらしい。脇からもう一個取り出して渡したのだけど、
それも同様に印字がにじんでいる。
「五百円よね?」
と僕に同意を求める。こういうときに安い値段を口にするのは何か申し訳ないのだけど、
「五百円です」
と答える。
亜米利加式混合葉使用の煙管用刻み煙草宝船は五百円である。

小銭を取り出して渡す。
「あれ、六百円あるわよ」
とあばあちゃん。しまった。また小銭を間違えた。
「ふふふ、黙ってれば良かったわね」
「あぶないあぶない」
百円を戻してもらって店を出る。
仕事に集中したから頭が暴走しているのもあるけど、このごろはイージーなミスが多い。
コンビニでマルボロを買って、商品を置いて店を出ようとしたのも最近のことだった。

最近、このブログで「煙草のめのめ」の歌を紹介して、そのときYouTubeで音源を聴いて、
以来、「煙草のめのめ」をよく歌っている。
「けーむーりーよ、けーむりよー、たーだ煙ー、いっさいがっさーいみな煙」
この、「いっさいがっさーい」のフレーズが、とても気持ちいい。
この世は一切合切がすべて煙のように夢幻なのである。
煙草をのむときの心境は、まさにそれ。
肺癌になろうが、心筋梗塞のリスクが跳ね上がろうが、
どうとでもなれ、という気分である。
まさに大正ロマン。この歌を作ったのが、「雨雨ふれふれ」の歌と同じ人だと思うと、
蛇の目(の傘)でお迎えに来るのがあの世の天女様のような気さえしてくる。

ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン

天国でいったい何をやっているやら。
こちらの歌を作詞しているときの詩人の方の心境を想像してみる。
野口雨情さんだったと思う。
雨の日は嫌なものだ。うっとうしい。でも、歌は楽しくなくてはならない。
雨の日でも楽しいこととは何であろうか。
急な雨で学校で雨宿りしている自分を、
母親が傘を持って迎えに来てくれる。
自分を気にかけてくれる人間がいる。
これはうれしいものだ。

なんか深いな。
最近歳をとったせいか、世界の神秘とかこの世の奇跡なんてものより、
身近な何気ない出来事に「いいもんだなぁ」としみじみ感じいったりする。
たとえばさっきのおばあちゃんの
「黙ってればよかった」
と茶目っ気たっぷりに笑った顔とか。

さて、とっ散らかった部屋をかたづけなくちゃ。

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