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2017年5月20日 (土)

「裁判員の女神」について

裁判員裁判が始まってもう8年になるそうです。

と、結構長い文章を書いていたのですが、突然パソコンがフリーズして文章が消えた。
これはあれだな、余計なことを書くなという毛利甚八先生のご意思なのだろうな。
酔っぱらった毛利先生がいかに面白い人だったか書こうとしただけなんだけど、
ご本人が鬼籍に入られて、反論できない状態であれこれ書くのはフェアじゃない。

実業之日本社の漫画サンデーに「裁判員の女神」という作品を連載させていただきました。
原作は「家栽の人」で有名な毛利甚八先生です。
酔っぱらうと子供のように無邪気になる楽しい先生でした。

漫画サンデーさんで「もうすぐ裁判員裁判が始まるぞ」ってんで、
毛利先生に「何か書いていただけないでしょうか」とお願いに伺ったそうです。
毛利先生は「もうみそぎは終わったし、書かせていただきます」とおっしゃったそうです。
「みそぎ」がどういう意味なのかわかりませんが、いろいろ思うところがあったのでしょう。
僕はただそういう発言があったと、編集さんから聞いているだけです。

毛利先生とは浜松町で一度だけお会いして、記念写真も撮っております。
編集さんは僕にはくれなかったですけど、撮ったのは間違いない。
そのあと一緒にお酒を飲みに行きました。楽しい方で、僕は好感を持ちました。
いじられまくった編集さんには災難だったかもしれないけど。

作品の舞台については「人口五万人程度の小さな都市」とのことでしたので、
架空の街をこちらで作らせていただきました。「海鳴市」の名前は毛利先生です。
原作を読ませていただいて、すぐに「これ、なのはじゃん」と気が付いたのですが、
先生が「魔法少女リリカルなのは」を観ていらしたとは考えにくいので、
たぶん偶然です。

作品について僕があれこれ書くのは、題材が題材だけに躊躇してしまうのですが、
毛利さんがものすごく真剣に取り組んでおられたのは感じていました。
後半は一字一句、セリフはすべて毛利先生がお書きになった通りのはずです。
どこからだろう、三巻以降は全部そうしてるんじゃないかな。
つまらないギャグを挟んだら怒られた、ってのもあるけど、
ものが裁判だけに、下駄を全部先生に預けたほうがいいって判断もありました。
だって、物語のテーマに近い裁判があると、それを傍聴しに鳥取まで出向いてましたし、
他の先生と違って勢いをつけて書きまくる、みたいな文章じゃなかった。
一字一句、ものすごくこだわってお書きになってる。

僕としては、粗削りな原作のほうがやりやすかったりするのですが、
「このセリフには私が全責任を持ちます」
みたいな書き方をされてしまうと、それに従うのが漫画家の仕事のようにも思えるのです。
実際、毛利先生の作品としての「裁判員の女神」は、
3巻以降どんどん強いメッセージ性を帯びてきたはずです。
こちらの絵もそれに合わせてどんどんリアル志向になってる。
最後の死刑判決の是非についても、僕は毛利先生と逆の立場で見ていましたが、
あくまで人間性の尊重を第一に考える先生の立場は、尊いと思います。

連載終了後、某団体から「作品を無償で提供してください」というメールを頂戴し、
そのことで毛利さんとメールのやり取りがあったのですが、
自作に対して強い自負を持っていらっしゃるのを、僕は感じました。
僕も「裁判員の女神」の作画を担当させていただいて、良い仕事をさせていただいたと、
心から思っております。
(作品の提供はしておりません)

以上が、この作品について僕がコメントできるギリギリのところなのかな。

僕自身はいつか裁判員への要請が来るんじゃないかと思ってたけど、
現在まで全くお声がかかっていない状態です。
(まあ、たとえ声がかかってもこんなところに書いちゃいかんのですが)

先生がお亡くなりになってから、傍聴人が裁判員に向かって、
「お前の顔を覚えたからな」
と脅迫する事件がありました。
連載時からいつかは起こるだろうなと予想はしていたのですが、
さすがに事件が起こってからでなければ、漫画の題材としては使えない事態だったりします。
もし先生が生きておられたらどうお考えになるか、お聞きしてみたいところですが、
それがもうできないってのは、なんともさびしかったりするのです。

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