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2017年9月 9日 (土)

対話篇2~ボスジャンの思い出~

 1

弟子「肩の調子はいかがですか?」
師匠「だいぶ楽になったよ。心配をかけて申し訳なかったね」
弟子「老人をいたわるのは若者の義務ですから」
師匠「……老人ってほどくたびれちゃいないよ」

弟子「北朝鮮が日米韓に脅しをかけまくってます」
師匠「水爆やらICBMやら、いろいろやらかしてくれてるね」
弟子「師匠も新聞やらテレビやらをよくチェックしておられます」
師匠「肩が痛くて外出できなかったから、なんか見ちゃったね」

弟子「金正恩についてはどのようにお考えで?」
師匠「路上でギターを弾いてる不遇なアーティスト」
弟子「……またわけのわからない例えが飛び出してきた」

師匠「池袋とか歩いてるとたまに遭遇するよね。若いアーティストさん」
弟子「池袋はかつてモンパルナスに例えられたくらい、芸術家の街でしたからね」
師匠「個人的には若い人が頑張ってる姿を見るのは大好きなんだ。応援してしまう」
弟子「ギターの箱を地面に広げて、どこかで聴いたような曲を演奏しております」

師匠「生歌、生ギターはやっぱりググッとくるもんがあるよね」
弟子「それでみんな騙される。別に大した音楽をやってるわけじゃないですよ、あれ」
師匠「……なんだい、いつになく辛辣だね。路上アーティストに恨みでもあるの?」
弟子「思ったことをまんま喋ってるだけですよ。で、なんであれが金正恩なんです?」

師匠「俺の歌を聴け!って、頼まれもしない音楽を押し付けてくる」
弟子「……師匠の方がよっぽど辛辣な気がするんですけど」
師匠「ICBMは俺の魂の叫び~♪」
弟子「なんか歌い始めた」
師匠「水爆はお前たちの鎮魂歌~♪」
弟子「しかもけっこういい声してる」
師匠「昔、演劇やってるお兄さんに褒められたことがあるんだ。美声だねって」

弟子「確かに、俺を認めろ!って叫んでる部分は路上アーティストと似てなくもない」
師匠「お金がなくて生活が苦しいところもそのまんま」
弟子「金正恩自身はおいしいものを食べすぎて太りまくってますけどね」
師匠「近代資本主義では貧困者ほど太る傾向が認められる」
弟子「自分が太っていることへの言い訳ですか。でもまあ、北朝鮮は貧困国ですよね」

師匠「お金がないからやけくそになって自作曲を歌いまくる」
弟子「近所迷惑な話です」
師匠「しかもなぜか結構いい曲なんだ」
弟子「半世紀前に大ヒットした曲をまんまパクってますからね」
師匠「水爆実験でゴジラが誕生したのが1954年だから、半世紀どころじゃない」

弟子「で、金正恩青年はひたすら自作曲を歌い続けるわけですね」
師匠「魂の叫びだから」
弟子「近所が苦情を言っても聞く耳を持たない」
師匠「聴く耳がないのは隣近所の愚民の方だから」
弟子「若いアーティストってのはめんどくさい生き物ですね」

師匠「パトロンはついてるのよ。お金を出してくれるお姉さんとかがバックにいる」
弟子「ああ、年増のセレブ女子とか喜んでお金を出しそうですね」
師匠「おまえは~いい女だ~♪」
弟子「頑張ってねマー君、応援してるわよ、ビックになって私をメロメロにして!」
師匠「なんだい、急に」
弟子「三十近い自称アーティストが夢を語る姿って、苦手なんですよ」
師匠「君も漫画家を夢見る自称アーティストだから、身につまされるのね」

弟子「金正恩は思い通りにならない世の中に核ミサイルをぶつける若者なんですね」
師匠「僕にはそういう風に見えてしまう。たぶん根っこの部分は似てるんだよ」
弟子「だから見ていると自分の若いころを思い出してイライラしてしまう」
師匠「六畳の部屋でひたすら原稿を描き殴ってた時代がよみがえる」
弟子「この作品で天下をとってやるぞ!」
師匠「そうそう、傑作を作れば未来は変わると単純に信じてたよね」

弟子「金正恩が核ミサイルに込めている願いは、なんとなくわかりました」
師匠「この一発で世界は変わる」
弟子「田舎のお父さんお母さんが泣いているぞ」
師匠「世間様に申し訳が立たない、いいかげん夢を諦めて孫の顔をみせておくれ」
弟子「やめてください、ものすごく心がえぐられる」

師匠「俺はピックな~スーパーアーティスト~♪」
弟子「ご近所さんもたまりかねて、とうとう警察に通報してしまった」
師匠「そこで駆け付けたのは天下のジャスラック」
弟子「なんでやねん」
師匠「あなた、お金は払ってるんですか。勝手に音楽やっちゃいけないんですよ」
弟子「自作曲なんでしょ?」
師匠「お金払ってくれないと訴えますよ」
弟子「理不尽だなぁ」

師匠「潰しますよ」
弟子「勘弁してください、生活がかかってるんです」
師匠「そのギターを破壊します」
弟子「……金正恩にちょっとだけ同情してしまう」
師匠「パトロンさんに言いつけて、お金を渡さないようにします」
弟子「石油禁輸決議ですね」
師匠「いい年なんだから、もう変な夢は見ないで真面目に働いてください」
弟子「ジャスラックの是非はともかく、言ってることは正しい気がする」
師匠「頑張れ金正恩!」
弟子「だからどうしてそうなる!」

師匠「嫌いなんだよ、ジャスラック」
弟子「気持ちはわかるけど、核兵器はさすがに迷惑でしょう」
師匠「自前で開発したもんを持ってて何が悪い」
弟子「そりゃそうですけど、その核兵器ってソビエト系のパクリもんでしょ?」
師匠「偉大な創作物です」
弟子「だから近所迷惑なんですって」
師匠「俺がいかにビックなアーティストであるか、周辺諸国は思い知るべきである」
弟子「なんか金正恩が憑依してる。あんたは○○の科学の偉い人か」

師匠「みんな核兵器持ってるのに、なんで僕が持ってちゃいけないのさ」
弟子「核不拡散の取り決めがあるんですよ」
師匠「大国のエゴだ」
弟子「そりゃそうかもしれないけど」
師匠「こんなすごい核兵器を作っちゃう僕を、周辺諸国は認めるべきである」
弟子「僕を認めてって、まるで売れないアーティストみたいだ」
師匠「……つまり、そういうことなのかなって」

弟子「やっと正気にもどってくれた。……確かに金正恩は路上アーティストですね」
師匠「ジャスラックのいかがわしさに反旗を振りかざすところは認めてもいいけど」
弟子「別にジャスラックは関係ないですよ」
師匠「結局は利権なんだよね」
弟子「なんだかとってつけたような結論だなぁ」
師匠「金正恩君もいい年なんだから、いいかげん定職につくべきだと思う」
弟子「身につまされるからやめて」

 2

師匠「眞子様がご婚約を発表なされた」
弟子「秋篠宮殿下のご息女であらせられます」
師匠「このあいだまで紀子さんフィーバーで盛り上がってたのに、早いもんだね」
弟子「いつの話ですか」
師匠「秋篠宮が礼宮って言ってた時代の話」
弟子「四半世紀も昔のことじゃないですか」

師匠「もうそんなになるかね」
弟子「あのとき生まれたのが眞子様ですから」
師匠「あの子いくつ?」
弟子「25歳です」
師匠「早いなぁ」

弟子「ボスジャンが生まれたのが25年前です」
師匠「缶コーヒーのBOSSが特典で作ったジャンバーだよね」
弟子「このあいだテレビCMで25周年記念って言ってました」
師匠「トミー・リー・ジョーンズはずっと見ていたってやつね」

弟子「いいですよね、ボスジャン」
師匠「背中にBOSSって書いてあるの。それだけなんだけど、男としては憧れる」
弟子「何か思い出があるそうで」
師匠「25年前に食料品の問屋さんでアルバイトしていたことがあってね」
弟子「ほうほう」
師匠「お店の偉い人が持ってたから、くださいってお願いしたの」
弟子「いけずうずうしい話ですね」

師匠「だってカッコいいんだもん」
弟子「問屋さんだと営業の人が持ってくるからいっぱいありそうですね」
師匠「うん、お客さんも欲しがるから、お得意さんにみんな配ってたみたい」
弟子「ああ、あの人らにアピールするって意味もあったんだ」
師匠「中間業者を引きつけなきゃ商品が回らないからね」

弟子「業者さんがみんなボスジャンを着ていた」
師匠「くやしかったなぁ。僕も欲しかった」
弟子「バイト風情が言ってもくれないでしょう」
師匠「でもあんまりしつこく欲しがってたら、代わりのものをくれたんだよ」
弟子「ごね得ってやつですか。何をもらったんです?」
師匠「MAJORのアポロキャップ」
弟子「……なんか微妙なものが出てきた」
師匠「黒地に金文字でMAJORって書いてあるの」
弟子「缶コーヒーつながりですか」
師匠「けっこう気に入ってたんだ」

弟子「ま、良かったじゃないですか」
師匠「銭湯の帰りにカバンにくっつけてたら、途中で落としてなくしちゃった」
弟子「ああ」
師匠「悲しかったなぁ」
弟子「今ならそれなりに価値があったかもしれませんね」
師匠「思い出はお金には代えられないもんだよ」

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