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2018年12月18日 (火)

「源氏物語」の男女を入れ替えてみた。

ブックオフに出向いて、少女漫画なんかを買ってみたのだけど、
レジの女の子に出すとき、さすがにちょっと恥ずかしかったな。
いや、おじちゃんはこんなもの、普段から買いなれてるんだからね!って顔で渡したけど。

アマゾンが普及して、おじちゃんが少女漫画を買うのにも、
ずいぶん抵抗が無くなってるけど、さすがにいい年したジジイがなに読んどんねん、とは、
思わんでもない。実際、病院の待合室なんかで読むのは、少女漫画でも青年漫画でもなく、
海音寺潮五郎の時代小説だったりする。
爺さんは爺さんらしいものを読まねばと、その場のTPOをわきまえているのだ。

だからまあ、少女漫画を読むのは誰もいない一人の時に限定される。
自分がそれを読んでる姿はそこまで変ではないと信じたいけれど、
例えば電車の中で目の前の初老のサラリーマンが「花とゆめ」なんか読んでいたら、
「ええ~~~?」と凝視してしまうもの。

アマゾンを始めとするネット通販はもちろんだけど、
デジタル配信のおかげで、それまで敷居の高かった分野にまで手を伸ばす人は多い。
強面のヤクザの組長がポケモンで遊んでいても、まったく不都合はないし、
実際、そういう人はいるのだと思う。僕の少女漫画なんてかわいいものだ。
目の前でアラフィフの親父たちかプリキュアの話題で盛り上がる現場にだって、
僕は遭遇したことがある。娘さんと見ていて嵌った人もいるけど、
そうでない、昔からの変身少女アニメのファンも熱弁をふるっていた。
この年代だと、魔法使いサリーは再放送で視聴し、魔女っ娘メグ、秘密のアッコちゃんと、
割とリアルタイムで視聴していたりするから、まさに古強者、歴戦の古参兵である。
僕も二十歳くらいまではその辺は押さえていたけど、
セーラムーンあたりになると、もう話題に加われなかったりする。

そういえばうちには一冊だけセーラムーンの単行本があったな。
大学時代に友人がセーラサターン?だかの熱狂的な信者になって、
布教の一環として彼女の活躍する巻を渡されたのだ。
でも僕は漫画を一巻から順番に読みたい派なので、パラパラとしか眺めていない。

自分は少女漫画なら「花とゆめ」系統が好きなので、
「ガラスの仮面」から「スキップビート」の演劇少女の物語が、やっぱり嵌る。
「スキップビート」もなんだかんだ、時間を超越した謎空間にはまりこんで、
「ガラカメ化」しつつあるけど。

一つのオーディションにいったい何年かけとんねん!と。

ドラマにもなったけど、槇村さとるさんの「おいしい関係」とかも読んでた。
大使閣下の数年前くらいだと思う。
ここだけの話だけど、作者は男の方なのにずいぶん女性的な絵を描く人だなぁと、
割と真面目に思っていた。だって、さとるさんだし。

僕の年代だと普通に少女漫画とかレディース物を男性が読んだりするので、
案外こういう性別の垣根というのは、すでに崩壊しているのかもしれない。
NHKの朝ドラは女性が主人公だけど、男性だって見たりするし、
深夜のアニメは大半が女性キャラ中心だったりする。

物語というのは自分を投影して、自分が主人公になりきって楽しむものだと思うけど、
ならば僕は、少女漫画や女性のドラマでいったいどういう楽しみ方をしているのか、
ちょっと謎な部分はある。自分の中に女性の部分があって、
それが解放されているのかもしれないし、潜在的な女性化願望でもあるのかもしれない。

でもそんな僕でも、まったく共感できない女性視点の物語がある。
「源氏物語」である。

源氏物語はご存知の通り、
高貴な血を引く絶世の美男子が皇位継承のいざこざで臣下に下り、
明石くんだりまで左遷されたりもしたけど、のちには政界で栄華を極めるという、
いわゆるサクセスストーリーである。男性視点に立てばそう読める。
でもまあ、そこは割とおまけ的なもので、女性視点に立てば、
めっちゃ高貴でカッコいい美男子が女性を翻弄する物語である。

僕は十代の頃に与謝野晶子の訳で読んだだけなのだけど、
最初から結構えげつない。
「父親の再婚相手が死んだ母と瓜二つなので、思わず手を出してしまう光源氏」
……なんか、エロ小説とかエロ漫画なんかに使われそうなプロットだ。

男の自分が読むとえげつない話としか思えないのだけど、
紫式部がどの辺に視点を据えていたのかを考えてみると、
「金持ち嫁いだら、そこにとてもきれいな男の子がいて、かわいがってたらヤラれた」
となるわけで、なにやらずいぶん不穏なことになる。
しかもこれが一撃必中で未来の帝を孕んでしまうわけだから、なんとも罪深い。

光源氏はええとこの令嬢と政略的な結婚をするけど、面白みのない女なので放置する。
男性目線からすればつまらん部分なのだけど、四歳年上の姉さん女房というのがみそで、
女性からすれば好きな男性の年上の正妻となれば、これはもう格好の攻撃対象である。
何あのオバサン、私の光源氏さまを独占するなんて許せない、呪い殺してやりたい!
キー!となる。
で、葵の上は光源氏の愛人である六条御息所に呪い殺されるのであった。
このくだりを女性がどう読んでいるのかを想像すると、空恐ろしい部分ではある。

これが紫の上の話になると、男性の中には共感を覚える種族もいる。
かわいい幼女を誘拐して自分好みに教育するのだから、完全に犯罪である。
でももちろん紫式部はそういう殿方御用達のエロ小説を書いたのではない。
女性視点からすれば、乱暴な幼馴染と年寄りだらけのつまらない日常に、
突然イケメンのお兄さんが現れて、私のことをさらってくれるの!となるから、
この犯罪は一編のロマンスとなる。

都会に憧れる田舎の娘の前に、都を追われた貴公子様が転がり込んできたり(明石)、
不器量で引きこもりの娘のもとに、勘違いしたイケメンが忍び込んできたり(末摘花)、
女性が読んだらそれはかなり面白いんだろうけど、
源氏物語を読んだ頃の十代の自分には、その辺の共感がまったくなかったので、
いまいちピンとこなかった。

でも男性視点に置き換えてみたらどうだろう。

とある大企業の女社長が、誠実な男性社員をみそめ、
愛人関係になる。

で、この男性社員と女社長の間にものすごい美少女が生まれてしまう。
この子が物語の主人公だ。名前はひかりちゃん。
光源氏の女性版だから、まあひかりちゃん。
父親は若くして亡くなってしまうので、お父さんに対してものすごい憧れを持ってる。

この美少女は女社長が愛人とこさえた子だから、本家からは疎まれる。
本家には女社長のもう一人の娘であるお姉さんがいて、入り婿の旦那はこの子を猫っかわいがり、
そのため、薄幸の美少女は本家には正式な娘だとは認められないのだけど、
別に家をもらってそこで召使と一緒に暮らすことになる。

さて、女社長は偶然にも美少女の父親そっくりの男を見つけて、そいつと恋仲になる。
で、薄幸の美少女にひきあわせるのだな。
「この人、あなたの死んだお父さんにそっくりなのよ」

で、美少女は、この母親の愛人にものすごくなつき始める。
「藤田さん藤田さん(藤壺の男性版だから藤田さん)私を遊びに連れて行って」
……美少女が自分を父親のように慕ってくれるのだから、男性もまんざらではない。
で、この美少女と藤田さんはついに……

紫式部という人は、千年も前になんというけしからん物語を書いたんだ。
実にけしからん女である。

で、この美少女は親友の恋人である貧乏な青年を篭絡したり(夕顔)、
生真面目な男性社員と結婚させられるけど、愛人がその旦那を呪い殺したり(葵)、
死んだ父親のお姉さんの子供を誘拐したり(若紫)
するわけだ。すなわち、

「夕顔」は
恋人の友達が美人の社長令嬢で、その美人といい関係になる(ただし最後は死ぬ)
物語となり

「葵」は
憧れの美少女がつまらないボンボンと結婚させられるけど、
そのつまらない男が彼女の崇拝者に呪い殺されて、六条君、よくやった!
という物語になり、

「若紫」は、
下校中に滅茶苦茶綺麗なお姉さんが「私は君の従姉なんだよ」と声をかけてきて、
ドライブに誘われてそのまま家に連れ込まれるワクワクでドッキドキな物語となる。
このお姉さんは「君は亡くなった私のお父さんに似てるんだよ」と耳元でささやくのだな。

なんだそれ、僕は読んでみたいぞ、その物語。

ひょっとしたら「源氏物語」って、ものすごく面白い作品なのかもしれない。
ただし、女性か、女性視点で読める男性限定、なんだけどさ。


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