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« 無常という事 | トップページ | 「源氏物語」の男女を入れ替えてみた。 »

2018年12月 5日 (水)

キラキラヒカル

先日、詩人の入沢康夫さんのご逝去を朝刊で知って、本棚から現代詩文庫を持ってきた。
それを仕事机の脇において、ときどき読んでいる。

現代詩文庫は二通りあって、二十代から三十代ごろの作品をまとめたものと、
四十代の頃のものがある。

高校の頃、国語の先生が詩人で、授業でいろんな詩人の作品を紹介していたんだけど、
高校生の僕が興味を持ったのは、西脇順三郎と入沢康夫だった。

入沢康夫さんでは、「ランゲルハンス氏の島」が面白いと思った。
……詩というよりは、不思議の国のアリスのような寓話的なところに魅かれたのだけど。

とある数学教師がランゲルハンス氏の令嬢の家庭教師として雇われ、
奇怪で不条理で、シュールレアリズム的な体験をするというもので、
星新一とか筒井康隆とか、ショートショート的な面白さがあった。
発表されたのが1962年であるから、割と近いものがあるのかもしれない。

つげ義春の世界にも似ている。つまり、良くも悪くも僕はそういう部分に魅かれたのだ。

現代詩文庫にはこの「ランゲルハンス氏の島」全編が収録されている。
学生時代の僕は、こういう世界を漫画で描けたらいいなと思いながら、
ときどき引っ張り出して読んでいた。けっこう下心が大きい。

それでも、読んでるうちにはほかの作品にも目を通すようになるので、
「キラキラヒカル」とか、なんとなく頭に残っていたりした。
江國香織さんが同名の小説を出されたとき、タイトルから連想したのは入沢康夫さんで、
詩人から使用許可をいただいたことが本の中でも触れられている。
うれしかったから覚えている。

詩の方は全部カタカナで書かれたもので、句読点も隙間もなく、
整然と活字が並んでいる。情緒もへったくれもなく、機械的に並んだ文字列から、
女性の姿が感じられるというのは、不思議なものだと、この年になってしみじみ思う。

考えてみれば江國さんの小説の方も、作中の女性の女性的なものを取り去っていって、
男性同性愛者と結婚までさせて、それでも女性の女性的なものを感じさせるもので、
二十代の僕があらゆる活字に中毒症状を起こしたとき、逃げるようにして読んだのが、
なぜかこの小説だった。というかそうまでして読みたいか活字。
女性の書いたとても女性的な作品だと僕は思う。

だから、あの小説のタイトルは、とても入沢康夫的なもの、なんだろうなぁ。

今は「わが出雲・わが鎮魂」を読んでる。
ご本人が亡くなってからその詩を読むというのも、なんだかなぁな話なのだけど、
それはそれでひとつの大きな切っ掛けなのだな。

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